心理学の基本「心の理論」とは!アンとサリーの課題が明かす秘密

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こんにちは。

催眠を心理学の知見によって解き明かす、

「催眠心理学」、

ベレッツアです。

心の理論って聞いたことはありますか?

心理学だけに「心(こころ)の理(ことわり)の学問」としてとらえると、うまく理解できるでしょうか。

 

心の理論は心理学では基本的な用語であり、心理学を学んでいる人なら、一度は触れる言葉

ですが、心理学を学んでいるはずなのに、本当に理解しているのかと思えるような人もいます。

 

アンとサリーの課題に代表される「心の理論」は心理学を利用、または、勉強する上で、とても重要な必須知識なのです。

では、そんな心理学の基礎、「心の理論」について、説明していきましょう。

 

 

心の理論とは

 

心の理論、心理学の基本用語ですが、初めて聞くときはぱっと理解できる言葉ではありません。

理論とか言うと、

う~ん。おなかいっぱい。もっと違う話をして。

 

とか言われそうですが、実はとても簡単なことで、

あの人は何を考えているのか?

を推測することができる能力のことを指します。

 

少し下の漫画を1→2→3の順に見てください。

4番目の図はどちらでしょうか。

(出典:独り言HPより)

 

あなたはどちらを選びましたか?

統計を取ってみると、多くの人が4のコマには1を選ぶんですね。

ここで、2を選んだからと言って、間違いではありません。

 

なぜなら、

「家に帰ってきたが、ドアを開けられず、カギを取りに雨の中を歩き出した」

としたらどうでしょうか。

つじつまが合いますよね。

 

しかしながら、多くの人が1を選ぶには理由があります

男の子の気持ちを汲み取るからなんですね。

男の子に「ドアを開けたい」という気持ちがあると考えるんです。

だから、結果として1のカサでドアを開けようとする絵を好む人が多くなるのです。

 

ところで、2を選んだ方はいらっしゃいますか?

実は私も2を選びました。

何故2を選んだというと、前の二コマをほとんど見ておらず、3のシーンだけを見てこたえたから、なんですね。

 

他にも2を選んだ方はそれぞれの理由があると思います。2を選んだからってそれが精神的におかしな反応ではないんです。

文脈(状況)によって、反応(捉え方)が変わるのは当たり前なのですから。

 

このように、他人の心の中(上の図では男の子がドアを開けようとする「意図」)を読み取ってしまう働きが私たちの心の中にあります。

だから、こころの理論とは

ある行動を「しようとする(意図)」、「したい(欲求・願望)」、「思っている(信念)」、「知っている(知識)」などといった心の状態によって理解する体系のことを「心の理論(theory of mind)」とよぶ。

(出典:子どもの社会的な心の発達 コミュニケーションのめばえと深まり [ 林創 ]

と定義されます。

 

 

心の理論が理論と呼ばれる理由

 

さて、心の理論がなぜ理論であるのでしょうか

持って回った言い方をせずに、心を読みとろうとする傾向にあるということなのだから、心の理解とか、心の把握とかでもいいのではないかと思ったりしませんか?

 

実は理論と呼ぶ、または理論と呼ぶべき理由があるのです。

 

理論と聞いたら、あなたはどんなことを思いつきますか?

万有引力の法則とか、熱力学の第一法則、第二法則、または、相対性理論とか言った、科学の分野での事象を思いつくのではないでしょうか。

一般的には、このように、科学の世界で常識的に言えることを「理論」という言葉を使っているのです。

 

ニュートンのリンゴのように、持っている物を手から離すと、下に落ちます。

この時、私たちの目に見えるのは、物体の動き(現象)であって、引力(万有引力の法則)が見えるわけではありません。

しかし私たちは、物を持って上から手を離すとそのものは下に落ちるとわかります。

 

心の理論も同じで、目には見えないものが、次にどうなるかわかるから、「理論」なのです

日常的にも、私たちは、

あなた
私がこうすれば、あの人はこう感じてくれるだろう
あの人がああ言うのは、こうして欲しいからなのだろう

 

と相手の気持ちを察するような行動を無意識的にとっています。

物体が物理の理論に沿って存在するように、心は、こころの理論に沿って存在するのです。

 

 

心の理論が働かない人は「サリーとアンの課題」を解くことができない

 

と言っても、全ての人が生まれながらにして心の理論を働かせることができるわけではありません。

子供のころ、つまり、4~5歳くらいまでは、こころの理論が発達していないと言われてきました。

この心の理論が出来上がっているかどうかを判定する指標に、「サリーとアンの課題」という誤信念課題があります。

 

 

この動画では、サリーはピーちゃん、アンはお母さんに置き換えられていますが、ほぼ同じ課題です。

この動画の中で出てくる

「年少児は、ピーちゃんのお母さんがチョコレートを移し替えたことを知っている自分の心と、冷蔵庫にチョコレートを移し替えられたことを知らないピーちゃんの心の中を区別できないから、間違えて、ピーちゃんは冷蔵庫を探す」

という、自分と他人の心の区別をつけられない状態が子供の状態。

 

つまり、まだこのころの子供は、こころの理論がまだ、未成熟であるということなのです。

だから、4~5歳児までは、こころの理論がなく、6歳くらいからめばえると言われてきました。

 

細かく言うと、10年前までは正しい理論で、ここ数年の研究によってこの内容は覆されかけているのですが、細かいところは後述します。

 

つぎに、この誤信念課題が4~5歳児と同じ反応を示す人が大人でもいます。

それは、自閉症の人たちです。

(自閉症についてはこちらを参照 >> 自閉症の真実とは )

 

自閉症の人たちはこの誤信念課題について、4~5歳児と同じように、冷蔵庫と答える確率が上がります。

※自閉症でも「本棚」を選択する人もいます。
自閉症スペクトラムの考え方を当てはめると、よくわかります。
上記リンク先を参照してください。

 

また、自閉症の人たちが相手の表情から、感情を読み取ることができません。

自閉症スペクトラムの人は、相手がどんな表情をしていても、その感情に気づかないのです。

下の映像を見てください。

 

 

3Dで作成された映像だから、ちょっと違和感もありますが、定型発達の人(自閉症ではない人)から見ると、なんとなく

こんな気持ちじゃないかな?

というのに気づけるかと思います。

 

自閉症だと、この相手の気持ちが、どんな気持ちなのか理解することが難しいと言われています。

※しつこいようですが、自閉症の人全員が分からないわけではありません。

 

これも、自閉症は客観的にありのままに事実だけ、物事だけを観察する、

として考えると、

「人の気持ち・感情」というものは目に見えないものだから観察できない

ということも頷けるかと思います。

 

ただし、この課題は、文脈(前提条件)によって、大きく変化します。

例えば、お母さんはいつもお菓子などを見つけると冷蔵庫にしまう癖があるとします。

 

それをピーちゃんが知ってて、お母さんが買い物から帰っていたなら、どこを調べるでしょうか。

そういった、文脈によって変わってくるので、本棚を調べるという答えが、どんな状態でも必ず正答という訳ではない事を付け加えておきます。

 

 

心の理論は本当に5歳以下の幼児、乳児にはないのか?

 

さて、前述した「心の理論は4~5歳児までは持っていない」という見解ですが、

先にも述べたように、近年の研究によって、そうではないという研究が発表されました。

下の映像をご覧ください。

 

 

18カ月のエリックがスイカの移動を見る映像です。

今までの心理学会での見解は4~5歳になってやっと心の理論ができると判断されていました。

 

だからその法則によると、18カ月のエリックはこの誤信念課題は解けないことになります。

つまり、実験者が見ていてもいなくても、驚くことはないはずですよね。

 

でも、エリックは実験者が見ていないはずなのに、実際にスイカが移動した先の箱に手を伸ばしたことに驚きました。

つまり、18カ月の子供でも、こころの理論は出来上がっているのです。

 

これは、今までの実験と齟齬を生む結果に見えます。

一体どういうことなのでしょうか。

 

 

心の理論があってもサリーとアンの標準的誤信念課題に正答できない理由

 

さて、サリーとアンの課題は標準的誤信念課題と言われています。

どのあたりが「標準的」なのでしょうか。

 

実験としては古いものなので、古典と言ってもおかしくないのですが、一般的には間違っておらず、通じることがあります。

また、状況によって答えは変化するし、実際のところ、乳児でも心の理論は持っています。だから、サリーとアンの課題によって心の理論の発達を推し量ることは乱暴すぎるのではないかということです。

 

少し頭を切り替えてみましょう。

4~5歳児は自分のことについて話すことは出来ても、人のことについて話すことは少ないですよね。

 

幼稚園で起こった出来事を聞いても、いつも自分が見聞きした事象。自分の世界が心のほとんどを占めています。

だから、幼児は自分の感情の赴くままに行動するところをよく目にしますよね。ということは、つまり、幼児は自己中心的な世界観の中で暮らしているのです。

 

このことは、幼児に日頃、よく接している人たちには日常的に見る光景。ここからわかるように、幼児は自分の気持ちを抑えることが難しいのです。

こんな状態も、児童になるにつれて、だんだんと、自分の気持ちを抑え、周りと協調できるようになっていきます。

 

さて、幼児の気持ちに思いを馳せたところで、先ほどの話に戻りましょう。

サリーとアンの標準的な誤信念課題では、その現場を見ている幼児にとって、自分が知っている事、(先ほどの映像では、チョコレートが本棚から冷蔵庫の中に移動していること)を、答えずにはいられない、つまり小さい子供は感情を抑えることができないのです。

ピーちゃんの気持ちは理解できても、自分の気持ちを抑えることができないから、「冷蔵庫」と答えてしまうのです。

 

また、状況を少し付け加えて、

あなた
実際にチョコレートがある場所を間違って探しそうなのは誰かな?その人にチョコレートがあるところに連れて行ってあげてね。

 

と言ってあげると、3歳児でも正答することができるようになります。

 

これは「助っ人課題」と呼ばれるものですが、

幼児にとって自分の気持ちを抑えるという「抑制」を和らげる効果が生まれるため、

問題を解きやすくする効果があるものと思われます。

 

この子供の考え方が分かれば、子供を教え、諭すときに

先生
なんで○○ちゃんの気持ちが分からないの!!

とかいう指導は効果を生まないことが理解できると思います。

 

つい怒りたくなる気持ちもわからなくはないのですが、それでは幼児に伝わりません。

ちょっと、子供の自己中心的な考えを逸らせてやれば、相手の気持ちは十分に推し量れているはずなのです。

 

一歩引いて

あなた
(相手の)○○ちゃんはいまどんな気持ちかな?

と問いかけてあげれば、2~3歳くらいの幼児でもちゃんと応えてくれるかもしれませんよ。

 

 

さいごに

 

心理学の基礎となる「心の理論」いかがでしたでしょうか。アンとサリーの課題だけにとどまらず、基本的な話でも、この「心の理論」に影響を与えるほどの最近の研究成果も交えてみました。

最近は大人でも、自己中心的な考え方をする人が増えてきています。

 

これは、本来幼児期に習得すべき「心の理論」が成熟せず、心に大変な労力を強いる「抑制」の成長が出来ていない人が増えているせいではないでしょうか。

 

単に、こころの理論だけで話すと、余りにも、手持ちのカードが少なすぎて、正確には伝えられません。

ある人がある行動をとるには、その要因となる事象が多くあります。

 

今、生活がひっ迫していれば、相手の気持ちを思いやることは難しくなりますし、急いでいる時には他のことなど考えていられません。

暴力的な映画やゲームを見た後では、性格が荒くなるし、落ち着いた音楽を聴いた後では、心が穏やかになります。

 

サリーの課題問題にいても、長年培われたもの、今の状況、その他多くの要因から成り立つので一概にこうである。と断定するものではありません

ですが、基本的な部分としての「心の理論」、相手の気持ち・考えを無意識的に理解するという人間の反応、これが人間にあるということを知っていれば、心理学のスタートラインに立ったと言えるのではないでしょうか。

 

ちなみに、動物には心の理論はないと言われています。

遺伝子的に人間に一番近いチンパンジーでも、他の個体の気持ちを理解しようとはしません。

一部適応的に発達した動物(人間とともに暮らしている犬など)は、心の理論がある様に見えますが、単に適応的な行動なのかどうか、証明されていません

 

最後にカウンセリング(特にヒプノセラピー)とのかかわりですが、この「心の理論」に熟達するのが、ヒプノセラピストとしてのセンスになります。

相手のちょっとした反応やしぐさから、感情を読み取り、より深く無意識の世界に案内することが必須技術

 

転じて、社会的な行動にも「心の理論」は通じるものがあります。例えば、会社勤めの社内での行動や、社外での営業活動などにも必要な技術でしょうし、町内活動やお隣さんとの付き合いにも必要になるでしょう。

 

人間特有の「心の理論」。

無意識的な適応的行動としてだけではなく、社会的な能力として、ぜひとも多くの人に思い出し、身につけて、活用してもらいたいものです。

 

 ベレッツア 高橋

 

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