ジークムント・フロイトの夢判断のきっかけ「生きなかった夢」

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ジークムント・フロイトの夢判断は、心理学でも有名な書物。興味を惹かれる人も多いのではないでしょうか。

また、その夢判断が体系化される過程が友人フリースとの手紙のやり取りにあったことも、フロイトの自己分析にとって重要な部分。

 

そのきっかけとなったのが、フロイト自身が見た夢で、「トゥーン伯爵の夢」と「生きなかった夢」が有名です。

夢判断のきっかけとなるフロイト自身の無意識として現れてきた夢とはどのようなものだったのでしょうか。

 

ジークムント・フロイトの夢判断

ジークムント・フロイトの夢判断とは、夢占いのようなものではありません

厳密にいうと、部分的にその手法を使うのですが、夢判断の決定的な要素ではなく、判断していく過程における一つの手がかりとして利用するといった価値しかありません。

 

たとえば、海と言えば女性、特に母親を表現したものですが、これは夢の象徴の一部分であって、全体ではありません。

もしその人の中に海のイメージに別の要素が付加されていた場合、そしてそのイメージがより強烈であった場合、その別の意味を持つ表象として、海が現れてくることになるでしょう。

 

だから、フロイトは、夢判断を行う時には、カウチに座って行う自由連想法という手法を重視しました。

夢判断は、集合的無意識として表彰される部分もありますが、個人的な体験や経験に基づく無意識、意識するには危険な抑圧されたものであることの方が多いのです。

 

だからこそ、個別的な方法を重要視するのです。

この部分は、クライアントが語ることを重要視して無意識の世界のイメージを広げていくヒプノセラピーの手法とほぼ同じであるといえるでしょう。

 

さて、この夢判断において、フロイトは、父親が他界した時に見た、フロイトの無意識を象徴する夢があります。

その夢を判断することでフロイトは自己分析を進めていきました。

 

フロイトが自己分析として夢判断した「生きなかった夢」

1896年フロイトが81歳の父親を亡くしたとき、フロイトは40才でした。

その頃、フロイトが見た一連の夢をめぐって行われた自己分析のなかで、思いもかけず尊敬の念を抱いていた父親に対して根源的なエディプス的なテーマが自分の心のなかにずっとしまい込まれていたことに気づきます。

 

自分が心のそこから信頼していた父親に対して無意識のなかで死の願望、つまり、父親を亡き者にして自分がその父親にとって変わろうとしていたことに気づいたのです。

この事に気づくきっかけとなったのは「大目にみてください」という夢。

 

フロイトは父親の葬儀に理髪店が混んでいたことから遅刻してしまいます。この夢はこの事実を悔やんでいたなかでみた夢でした。

この大目に見てくださいという夢の自己分析のなかで、父親が亡くなるということをめぐってなんらかのうしろめたい気持ち、罪悪感を持っていたことをフロイトは自覚するようになります。

 

この夢の後に続けてみた夢が「トゥーン伯爵の夢」とその後に見た「生きなかった夢」がとても印象的な夢です。

その中でも抑圧が緩んできたときに、フロイトが見た生きなかった夢を紹介しましょう。

 

フロイトが見た生きなかった夢

この生きなかった夢の内容は、自分の目上の人々、お世話になった教授や先輩たちを次々ににらみ消していくというもの

フロイトが先制や先輩たちを鋭くにらみつけると、彼らは見る見るうちに青くなってもうろうとなり、その姿が消えてなくなってしまいます。

 

その自分のすごい力に嬉しくなり、有頂天になっていきます。

そしてフロイトは、そもそも彼らがこの世に生きてさえいなかったのだと夢の中で思います。

 

フロイトは、この夢を通して自己分析進めていくことになります。

若い研究者だったフロイトは夜更けまで研究していたため、たびたび研究室に遅刻していくことがありました。

 

その遅刻を思い出したのです。教室に入るときにその遅刻を咎めるように教授ににらまれて消え入りそうになったフロイトがいました。

それは、最も恐ろしく感じたフロイトの父親体験。

 

しかし夢の中ではその立場が逆転し、教授が象徴している父親をにらみつけて消してしまうのです。

いまや自分はこのすごい力を手に入れたのだと言わんばかりににらみつけました。

 

フロイトはさらに自己分析を深め、数少ない学校内でのポジションをめぐる研究者たちの激しい競争心をその中に見つけます。

邪魔なライバルを押しのけ、無きものにしてまで自分のポジションを獲得しようとする、なまなましい衝動をフロイト自身の心の中に見つけました。

 

つまり、自分の中にひそむ目上の人達に対する市の願望を見つめるようになったのです。

そしてフロイトは、この夢の自己分析の終わりに次のように語っています。

 

「自分の夢を分析し、それを他人に報告するには、とても強力な自分自身に打ち勝つ力が必要。

なぜなら人は自分と一緒に生活しているすべての高潔な人々の間で、自分だけをただ一人の悪者として暴露しなければならないからだ。」といいました。

 

こうして一連の夢を通して、フロイトは自分自身も罪深い一人のエディプスなのだということを心に刻んだのでした。夢の自己分析が精神分析の起源をなすといわれる理由は、このフロイトの体験から来るものです。

ここに、クライアントから無意識のうちにある言葉を引き出すことの難しさがあるといえるでしょう。

 

そして、フロイトはこうした一連の自己分析と他の人々の夢を素材としてエディプスコンプレックスを精神分析における重要な概念となったのです。

このエディプスコンプレックスに対して日本に精神分析をもたらした立役者、小沢平作は、フロイトに「二種の罪悪感」という論文を提出しています。

 

精神分析を日本に持ち込んだ平沢平作の二種の罪悪感

それは父親に処罰される不安や恐怖から来る罪悪感を特徴とするエディプスコンプレックスに対して、母子家庭における関係を特徴づける罪意識に注目した論文。

そしてその内容を仏典の物語から名づけた「阿闍世(あじゃせ)コンプレックス」として提唱しています。

 

ある意味で西欧的な父親と子供のような父子関係を強調するエディプスに対して、阿闍世は母親と子供のような母子関係を強調しています。

この母子関係は日本における特徴をよく表しており、フロイトのエディプスコンプレックスの東洋版ともいわれるもの。

 

実は、この阿闍世のテーマは、フロイトが注目したエディプスが生まれた後の物語の展開よりも、むしろ生まれる前の物語に強調点が置かれています。

つまり、エディプスの母親イオカステもそうであったように、阿闍世の母親、韋提希(いだいけ)の利己主義に対して目を向けています。

 

そこでは、母親としての愛情ではなく、自分の不安や自己中心的な欲望から子供を身ごもり自分の都合が悪くなると、子供を殺してしまおうとするエゴイズムが強調されています。

そうした母親への怒りから来る母親殺し、母親への怨念が阿闍世のテーマ。

 

その利己的な母親への阿闍世の殺意はのちに母親の自己犠牲、献身的な愛によって緩んでいき、やがて自発的な罪意識、悪かったという罪意識、つまり懺悔心に変容します。

そのことから、エディプスコンプレックスは処罰怖れ型罪悪感、阿闍世コンプレックスは償い型罪悪感を扱っているといわれています。

 

この阿闍世コンプレックスはその後、小此木啓吾によって、日本特有の母子関係の理解へと発展してきます。

たとえば、母親の子供を持つことに対する葛藤が生まれてきた子供に深刻な影響を与え、それが次の世代へと受け継がれていく、世代間伝達の観点からとらえることができます。

 

また、思春期の母子分離における母親との自己愛的な一体感から脱出するための象徴的な母親殺しのテーマなど、臨床上重要視されており今も生きた概念として活用されています

このように、フロイトのエディプスコンプレックスがその後異なる地域でどのように発展し、受け継がれていったのかを、日本の阿闍世コンプレックスに見ることができるのです。

 

まとめ

 

以上、「ジークムント・フロイトの夢判断のきっかけ「生きなかった夢」」を神戸ヒプノセラピー、催眠療法ベレッツアがお伝えしました。

夢は無意識の王道であるというフロイトの言葉のとおり、夢は無意識の世界に入るときの道筋を作ってくれます。

 

夢を用いた分析は、心の壁を乗り越えること、ヒプノセラピーでいうとクリティカルファキュリティを取り去ることさえできれば、無意識の世界を最も身近に感じられる方法。

寝ている時にも行っている人間の心の働き、「夢の仕事」を知ることで、クライアントの心の状態、無意識のこころの内側を知ることができるようになるでしょう。

(関連記事:夢は無意識の王道!フロイトの夢判断とは精神分析の出発点

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