自分を変えるには、自分の考え方や感じ方のパターンを知り、もっと良い思考パターンや受け止め方に変えていくことが必要。
でも、今まで生きてきた中で作り上げてきたあなたのその思考パターンは、潜在意識に染みついており、そう簡単に変わるものではありません。
そこで自分を変えるために効果的な方法が、自己催眠。
自己催眠とは、自分で自分に催眠をかけて潜在意識に埋め込まれた考え方を変えることで自分を変える方法なのです。
自己催眠とは
自己催眠とは、自分で催眠をかけることから始まります。
ですが、その最終目標は、催眠をかけることではなく、催眠状態に入ったあなたに暗示を与えること。
催眠と聞くと、あなたはテレビやショーなどで犬になったり急に脱力したり、自分が自分でなくなるような他の人にコントロールされるという催眠を思い出すかもしれません。
ですが、催眠とは、全ての思考やイメージを現実的に受け止め、作り上げるための方法です。
催眠とは、人間の心の中で起こることなので、催眠に入ろうとする人が積極的にその催眠誘導に取り組まなければ、催眠は成功しません。
全ての催眠は、自己催眠であり、ヒプノセラピストは、あなたの自己催眠の案内役にすぎないのです。
だから、いくら催眠に入ったところで、あなたの考え方は変わりません。
催眠とは、潜在意識、無意識が丸裸になったところで、その潜在意識に対して意味付けを変えていく方法だから。
この潜在意識の意味付けを自分で変えていくことが自己暗示であり、自己催眠。
自分で自分に催眠をかけることによって、潜在意識が表出させ、自分で暗示を与えていくことであなたの考え方や思考パターンを変えていくことが自己催眠なのです。
プラセボ効果は自己催眠
自己催眠の例として、プラセボ効果と言うものがあります。
日本語では、偽薬効果と言い、薬でなく単なる小麦粉のかたまりでも、薬だと思い込むと治癒効果が現れることを指します。
この効果は薬の治験、臨床実験においても除外される項目で、偽薬を与えられたグループと本物の薬を与えられたグループの差を見ます。
ほぼ同じなら、薬の効果はなかったことになります。
ここでのポイントは、偽薬であっても効果が現れるということ。
信じ込むことができれば、小麦粉でも薬になりえるのです。
逆に言うと、本当に効果のある薬であっても、効かないと思い始めるとその効果は徐々に薄れていくということ。
だから、慢性的な病気にかかると薬の量が次第に増えていったり、違う薬を順番に試していかなかければならなかったりするのです。
このプラセボ効果が示すことは、自分で自分に催眠をかける自己催眠でしっかり暗示を与えることができれば、あなたの身体をもコントロールすることができるということではないでしょうか。
このプラセボ効果を発見した人が、エミール・クーエという人です。
エミールクーエの自己催眠
エミール・クーエとは、フランスで自己暗示法を創り出した人で、ロレーヌ応用心理学会の会長です。
もともと、エミール・クーエは薬剤師でした。
パリ薬科大学で化学を履修しフランスのトロワで30年間薬剤師として働きます。
そんなある時、身体の不調を訴える客が「何か新しい良い薬はないか」とエミール・クーエを訪ねて来ます。
そこで、エミール・クーエは、今までに渡していたのと同じ成分の薬を「これは新しく開発された薬ですごくよく聞きます」と言って再び渡したのです。
その後数日たち、そのお客さんがエミール・クーエのところにお礼に来ます。そのお礼の言葉は、「やっと治ったよ。」という言葉。
エミール・クーエは同じ薬でも渡し方によって、効き目が変わってくることに気付きました。
これは、現在プラセボ効果と呼ばれているもので、本物の薬でなく小麦粉を固めたものでも薬だと思えば回復の効果が現れることがわかっています。
このことで、エミール・クーエは自己暗示、自己催眠の力に気付き、その後自己暗示を研究していきます。
そして、「私の人生は、毎日あらゆる意味でどんどん良くなっていく」と毎日寝る前10回唱えて自分に言い聞かせることで本当に人生が好転していくというクーエ療法につながっていきます。
自分で自分に暗示をかける自己催眠の方法
自分で自分に暗示をかける自己催眠は多くの方法があります。
その代表的なものを見ていくことにしましょう。
リラックス瞑想法
リラックスすることで瞑想状態に入る方法です。
瞑想とは無我の境地に至る方法であり、何も考えない状態になりましょう。
そのためには、リラックスして心を落ち着かせることが大切。この時音楽はあっても無くてもあなたのリラックスできるようにしていて構いません。
初めは心がざわついてしまい、無我の境地には程遠いですが、慣れるにしたがって心を落ち着けることができるようになっていきます。
催眠誘導
催眠誘導は催眠状態へ導く方法。あなたがあなた自身に、催眠誘導を行えば自己催眠になります。
催眠状態とは、究極のリラックスであり最高の精神集中です。
催眠状態に入ることとは、映画館で映画を集中してみている時と同じ状態。
映画を見ていてその中の主人公になりきることができるように、集中力を高めていけばどんなイメージをも創り出せることができる。
そのイメージとはあなたの潜在意識を抽象化したものであるので、イメージのとらえ方を変えることであなたの潜在意識を変えることができるのです。
潜在意識が変われば、あなたの心の問題も変化していくでしょう。
暗示を与える
暗示を与えることは、最高の自己催眠の手法です。
毎日寝る前と朝起きた時に10日づつ次の暗示文を唱えてみてください。
半年後のあなたはきっと変わっているはずです。
自分の人生が開けていくと唱えることで自分の人生が開けていくのです。
自己催眠でつかう暗示の例
- わたしは、わたし自身がすることのすべてに対して、完全な自信を感じます。
- どんな状況でも、わたしは落ち着いていて、すっかりリラックスしています。
- どんどん自信がついてくるので、わたしの本当の個性が輝きを放ちます。
- そして、身体はもっと強く、もっと落ち着いて、もっと健康になります。
- 自信が深まっていくと、毎日、あらゆる面において、わたしの人生の質は向上していきます。
自己催眠の効果
自己催眠の効果を示す話に、ライトさんとクレビオゼンという話があります。
これは、ミルトン・エリクソンの弟子であったアーネスト・ロッシという人が書いた「精神生物学」という本の中で紹介されている話です。
ライトさんは1950年代に悪性リンパ腫にかかった患者さんで、クレビオゼンという治療薬が大々的に紹介された時期でもありました。
酸素マスクが必要な状態で医者ももってあと3か月というほど病状は末期症状を呈していたのですが、普段から、きっと何か良い薬が開発されてよくなることができるはずだと思い続けていたようです。
そんなある日、クレビオゼンを使用しても良いという国の許可が正式に下りたのでライトさんで治験をすることになったのです。
金曜日から投与され、月曜日の朝ライトさんの姿を確認しようとすると、ベットの上にいないのです。なぜなら、元気になって歩き回りながら、クレビオゼンのすばらしさについて他の患者に語っていたから。
そして、その効果を目の当たりにした医者は他の患者に投与するのですが、他の患者は一向に回復する兆しもあらわれませんでした。
ライトさんは順調に回復を続けていき2カ月のちに退院し、通院でクレビオゼンを注射し続け回復していくのですが、ライトさんが家に戻ってしばらくすると、クレビオゼンに効果がないという記事を新聞で見てしまいます。
すると、ライトさんの病状は一気に悪化し、肺に腫瘍ができ始め、再入院となり、酸素マスクの生活に戻ってしまったのです。
そこで、担当医は、ライトさんに、クレビオゼンの改良版ができたのでそれを試してみませんか?と尋ねます。
もちろんライトさんは了承し、注射してもらうのですが、その新しいクレビオゼンとは単なる蒸留水。毒にも薬にもならないはずのものでした。
ですが、ライトさんの体調はどんどん良くなり、腫瘍がどんどん小さくなったのです。
退院して、新型クレビオゼンの治療を続け、元気に趣味を楽しんでいたのですが、ある日、新聞でクレビオゼンにはガンの治療効果は全くないという政府発表の記事を目にしました。
その発表を聞いた瞬間、ライトさんの病状は悪化していき3日後には帰らぬ人となったということです。
このライトさんとクレビオゼンの話は自己催眠の効果が良くわかる話になっています。
信じるか疑うかはあなた次第ですが、プラセボ効果でも効果が現れるとすれば、嘘だと断言するのも早計でしょう。
(関連記事:あなたの無意識を自己催眠で探る心理学とは)
まとめ
以上、神戸ヒプノセラピー、催眠療法のベレッツアが「自己催眠とは!自分で自分に催眠をかけて自分を変える方法」をお伝えしました。
自己催眠とは、自分で自分に暗示をかけてそう思い込むことで人生を好転させる方法。
信じることは、考えや感性、想いや信念など、信じた考えに全てのベクトルを合わせていくこと。
自己催眠は、あなたが自然とその道に進むしかない状態を創り出してくれるのです。
(関連記事:催眠療法とは)
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