退行催眠は、催眠退行とも呼ばれ、過去の記憶や経験にアクセスするために催眠を使用します。
退行催眠の支持者は、過去の出来事を再確認し、新しい視点を得ることで、トラウマや恐怖症、その他の感情的な問題を克服するのに役立つと主張しています。
しかし、心理学や医学の専門家の一部は、退行催眠は効果がないだけでなく、有害である可能性もあると警告しています。このブログでは、退行催眠の潜在的な害と、安易な退行催眠を避けるべき理由について説明します。
参考:前世療法(Wikipedia)
虚偽の記憶の創造
退行催眠の最も重大なリスクの1つは、偽の記憶を作り出すことです。
催眠状態では、人はより暗示にかかりやすくなり、セラピストからの提案や誘導的な質問を受け入れやすくなることがあります。その結果、実際には起こっていない記憶が作られたり、実際の記憶が歪められたりすることがあります。
場合によっては、自分が経験した出来事はすべて捏造されたものだと思い込むようになり、このような誤った記憶に基づいて不必要で有害な介入を行う可能性があります。
否定的な信念の強化
退行催眠は、人が自分自身や自分の経験について持っている否定的な信念や考えを強化することもあります。
例えば、不安と闘っている人は、たとえその主張を裏付ける証拠がなくても、自分の不安は過去のトラウマ的な出来事によって引き起こされたと信じているかもしれません。退行催眠は、経験を肯定的に解釈することで肯定的な信念を強化し幸せな結果を得ることを目的にします。
しかしながらセラピスト次第では、過去の否定的な経験に焦点を当てることで、否定的な信念を強化し、役に立たない思考や行動のパターンから抜け出せなくさせることになることがあります。
トラウマの再活性化
催眠退行は、過去のトラウマを肯定的に解釈してトラウマを氷解させていく方法ですが、反対に経験した人のトラウマを再活性化し、激しい感情を引き起こす可能性もあります。
例えば、幼少期に性的虐待を受けた人は、記憶へのアクセスと処理を助けることを目的とした催眠セッション中に、恐怖と不安で圧倒されることがあります。その対策ができないセラピストの場合、トラウマの再活性化は、人の精神衛生上有害であり、時間の経過とともに症状を悪化させる可能性さえあります。
すべてのクライアントに適しているわけではない
応用心理学である臨床心理学すら非科学、疑似科学だといわれることがあるように、すべての人に効果がある治療技術としての退行催眠の有効性を裏付ける根拠は多くはありません。
ヒプノセラピストは、特定の状態に役立つと主張することがありますが、これらの主張を裏付ける実証的な証拠は少ないとされているのです。
その理由は否定的な結論に結びつけてしまうセラピストの存在。その多くの結果は、むしろ、催眠退行が他の形態の療法よりも効果的ではなく、場合によっては有害でさえあるとされています。
倫理的な懸念
最後に、退行催眠の使用をめぐる倫理的な懸念があります。
セラピストがクライアントに対してよくなってもらおうという気持ちがなかったり、技量が低かったりすると、偽の記憶を作り出し、否定的な信念を強化する可能性があります。
この退行催眠の技法を使用するセラピストは、クライアントに効果のない、潜在的に有害な治療法を提供している可能性があります。
さらに、セラピストが催眠退行を使ってクライアントを操作したり、クライアントが共有したくない情報を引き出したりする可能性があるため、望まない結果に落ち着く可能性についても懸念されています。
まとめ
結論として、退行催眠自体に問題があるのではなく、退行催眠を扱うセラピストと安易な結論を求める相談者との考え方に問題があります。
そのため退行催眠は議論の余地があるとされていますし、潜在的に有害な行為になる可能性があるため、否定的な結果に満足するセラピーを避けるべきです。
しかしながら、退行催眠が有害で問題のある行為であるとするならば、昔の自分を思い出すことすら有害になる。過去を振り返ること、今まで経験したこと、得てきた知識などをすべて捨て去ることが正しいことだ、ということになるのですが、それは本当に正しいことでしょうか。
過去があってこそ、現在の自分が今の状態にあるのだから、過去があってこその自分であり、これからの未来の自分を作るためにも、過去の自分を参考にして、よいところを伸ばし、悪いところを改善していくことに優位性がないと言い切れるのでしょうか。
確かに安直な結果を求めるセラピストの存在のため、偽の記憶を作り出し、否定的な信念を強化し、トラウマを再活性化する可能性があり、科学的根拠を欠き、倫理的な懸念を抱かせるといわれるのが退行催眠です。
だからこそ、トラウマや不安、その他の感情的な問題の治療を求める人は、セラピーを受ける人がより良い人生を手にいれるために、効果的で安全であることが証明されている、肯定的な結果に導くことを信念とするセラスピストを探すべきではないでしょうか。
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