笑うと泣いてしまう。
そのとき、あなたはなぜ泣くのか理由がわからないかもしれない。
でも、笑うと、涙があふれてくるのを止められずに泣いてしまう。
こんな気持ちは、あなたの心の状態が危険な信号を出しているのかもしれません。
笑うと泣きそうになるということ
泣きながら笑うということは、泣くという行動と笑うという行動の相反するものが一緒に出てきている状態。
その側面をとらえると、脳がかなり疲れきっている状態でそのストレスから解放されたいと思っているのかもしれません。
普段、自分の想い通りに行っている時は、泣くことを考えないどころか、そのままあっという間に時間が過ぎていくのではないでしょうか。
笑うと泣きそうになるということは、笑っているその行動の裏に泣きたくなるようなことがあるのかもしれません。
意識的であっても、無意識的であっても、笑おうとするその裏に潜んでいる悲しみがあるのではないでしょうか。
笑うことで、その心の奥に潜んでいる悲しみが対比されるため浮き彫りになり、余計にスポットライトが当たってしまうのです。
そうすると、笑うことで、悲しみが再確認され、クローズアップされ、さらにあなたの心を占めていく。
これが無意識的な反応であればあるほど、笑えば笑うほど涙が止まらなくなるのです。
笑うことにも心を癒す効果があり、ストレスを軽減させるので、無意識的に、笑って何とか自分の心の平静を保とうとします。
ですが、その無意識的な笑いを乗り越えて、潜在意識の中に眠る悲しみを呼び起こしてしまうのです。
でも、これは、泣くことにも効果があることを潜在意識が知っているから。
泣くことで身体やこころに起こる効果をあなたの潜在意識は知っているのです。
泣くことの効果
涙を流して泣くことには、実はストレスを軽減させる効果があります。
これは、「脳からストレスを消す技術」という本の著者、有田秀穂という人が言っている言葉。
有田秀穂先生は、東邦大学医学部統合生理学教授で、このほかにも「セロトニン脳健康法」とか「脳からストレスをスッキリ出す辞典」などを出版している先生です。
有田先生によると、泣くことは、心と身体を健康に導く力があるということを言っているのです。
ここで、人間が涙を流す理由を考えてみるとその理由は3つ。
その3つとは、脳の一部である目を守るために常に潤すための「基礎分泌の涙」、次に、目にゴミやほこりなどが入った時に洗い流すための「反射の涙」、そして3つ目に、悲しい時や感動した時に流れる「情動の涙」です。
このうち最初の2つは、身体を保護するための役割で、肉体的な反応にすぎませんが、最後の一つ「情動の涙」は、身体の問題ではなく、心の動きで流れてくる涙。
情動の涙とは、感情が高まっていく涙のことで、脳の中枢機能を担う部分の一つ「前頭前野」の活動が活発になり血流が増加することで、感情が高まっていくから涙が出るのです。
感動の涙
赤ちゃんの時は、気持ち悪い時やお腹が減った時などに涙を流して泣きますが、青年期に入ってくると心にかかってくる負担を涙で解消していくことになります。
具体的に言うと、試合に負けて悔し涙を流したり、大切なペットを失った時に流れる悲しみの涙のこと。
さらに年齢と経験を重ね、大学生になり、社会人になってくると「いい大人」になってしまい簡単に泣くことはできません。
ですが、地震の被災地でたくましく生活している子供たちを見たり、応援している日本のサッカーチームがワールドカップで優勝したりすると、感動を覚えて涙が流れることがあります。
この感情が揺り動かされる時に流れる涙は、見ているほかの人へ共感することで流れる涙。
いままで、苦労を重ね、困難を乗り越えてきたからこそ、相手に共感でき、脳の中枢を刺激するから涙が流れるのです。
心の中の嫌なことを洗い流す涙
このように、涙を流して泣くということは実は、心理的な効果を持っているということ。
涙を流すことで、心な中によどんだ困難な感情を洗い流すことができるのです。
泣いている自分を見てふと客観的に自分を見つめているようなときもありませんか?
このように、涙が流れるということは心に大きな負担を与えることが起きた時に、元に戻そうとする恒常性が働いている証拠なのです。
リラックスするための涙
涙を流すことで実はリラックスすることができます。
嘘だと思うかもしれませんが、このリラックスの程度は眠ることと同じくらいの効果があるそう。
人はストレスを感じると交感神経が高まり、血管や筋肉が収縮し、興奮していきます。
ですが、涙を流す役割を果たすのは交感神経の働きを緩和する副交感神経。
涙を流すことで副交感神経が刺激され、心が落ち着き、神経が静まってくるのです。
同時に眠気も起きるほどリラックスしていくのは、神経の高ぶりが抑えられるから。
涙を流すという行動で、リラックスという身体反応を引き出して感情の高ぶりを抑えるこうかにつながるということ。
そうすればあなたの認知、悲しいと感じることに関する認知も抑えられていくということなのです。
この泣くこと、涙の働きは認知行動療法でも使われている原理にも合致しています。
人の認知活動を考えてみるとよくわかるのではないでしょうか。
免疫力を高めるための涙
涙には、免疫力を高める効果があるともいわれています。
第二次世界大戦中に、ドイツ軍に捕まった人がアウシュビッツ収容所に入れられ、体調不良になった時のこと。
体中に浮腫ができ、ずっと苦しんでいたのですが、自分の境遇を嘆き、もう泣けないというところまで泣いて、涙が枯れるまで泣いた日の次の日。
体中に出来ていた浮腫はうそのように治ってしまい、健康を取り戻したということです。
笑うことでも免疫力を高める効果があるといわれますが、泣くことでも、免疫力が高められる。
泣くことは、決して否定的なことばかりではないのですね。
(関連記事:泣きながら笑うピエロの心理とは。極端な感情に秘められた道化師の謎)
まとめ
以上、神戸ヒプノセラピー、催眠療法ベレッツアが「笑うと泣きそうになる人へ。笑うと泣いてしまう状態は危険信号かも」をお伝えしました。
笑うことでハイになって困難な状況を乗り切ろうとする無意識的な働きと、泣くことでリラックスしようとする潜在意識的な働きが同時に現れているほど、心理的に追い詰められているのかもしれません。
もしあなたが、困難な状況にあるのなら、潜在意識に刻まれている情報を書き換えることが必要なのかもしれません。
あなたの悩みが笑うことと泣くことの相反するほど強力な対策でしか癒されないほどの大きな心の問題なら、潜在意識のレベルから変化することができるヒプノセラピーが特効薬になるかもしれません。
(関連記事:ヒプノセラピーで使われれる潜在意識とは)
コメントを残す