ある国の要人が暗殺される。
どこかの国で起こっていそうな話ですが、世界一安全といわれる日本において、2022年7月8日11時30分頃、元総理大臣に対して発砲が起こり左胸と首を負傷しました。
民主主義の根幹たる選挙前に、行われた蛮行ともいわれ、多くのほかの国からも追悼の意が表明されたとのこと。
インドネシアのG20外相会議でも冒頭に追悼の意が表明され、アメリカ、ロシア、その他各国から大切な人を失ったとの言葉がありました。
これについて元自衛官で認定心理士の私が考えるところをメモしておこうと思います。
あくまでも私見ではありますが、今までの経験と知識を総動員して考えたいと思います。
なぜ殺されなければならなかったのか
一番疑問に思うところは、なぜ殺されなければいけなかったのか、ということ。
仮に他人を殺すという場面を想像したとき、その理由となるのは、
- 相手が殺したいほど憎い
- 殺すことに快楽が生じる
- 人生や社会に行き詰まりを感じている
- 自分が捕まりたい
- 相手の存在を消したい
ということが考えられ、実際に法務省の法務総合研究所が行った殺人犯52人に対する調査では、自分の境遇への不満(22人)、特定の人への不満(10人)、社会生活への行き詰まり(9人)、自殺の代替(6人)、殺人への興味(5人)となっています。(出典:無差別殺傷事犯に関する研究)
このように、命を奪う側にとってメリットがあるから相手を殺したいという意識が生まれるのが普通の思考。
今回の場合、無差別殺人の場合と違い、明確に相手がいることからその個人の命を奪うことが犯人にとってのメリットとなるわけです。
今回の犯人に、自分の人生をかけて果たすだけの価値のあるメリットを感じさせる要因は、宗教団体への恨みを晴らす、というのでは少し物足りない気がしませんか?
犯人は元海上自衛官
犯人は無職の41歳。
元海上自衛官で3年ほど勤務していたということから、高校卒業後入隊し、その後任期満了で退官し自衛隊をやめたのでしょう。
自衛隊で任期制隊員は小銃を貸与され、分解結合を体で覚えまで訓練することから、基本的なことは知っていて当然だと思います。
銃はパイプで作られた手製で弾も花火に使われる黒色火薬を多く使った手製の可能性が高く、反動を抑えるためグリップも大きく作られていると銃器の専門家が発言しています。
二連発であったのも、失敗を防ぐための対策ですから、殺害する意図は強かったと思われます。
ですが、手製の銃は暴発すると手元で爆発して自分が傷つくことを知っているはず。自分で作ったとしたら、何度か改良が必要だったでしょう。
実際に自宅から同様の銃が数丁押収されていました。
奈良県に北から犯行を思いついたとのことですが、これだけ用意周到に準備していることとはそぐわない発言。
あれだけ至近距離まで近づけるのですから、本当に元総理が奈良に来たから犯行を思いついたのなら、実験も調整も必要で失敗する可能性の高い手製の銃で犯行に及ぶものなのでしょうか。
犯人の背後にあるもの
先ほどの法務総合研究所が殺人事件に関して行った調査では、犯行時の月収が20万円を超えている人は3人しかおらず、40人が無収入です。
そして、人間関係の幅が狭く、普通以上の関係がある友人がいた者は10人しかおらず、恋人がいた者はたった二人です。
ニュースで伝えられた犯人の言葉によると、「ある宗教団体に恨みがあり、その関係者である元総理大臣を撃った」とのことです。
これを聞いて腑に落ちないのが、宗教団体に恨みがあるのであればそちらに意識が向くわけであり、いくら影響力があるとはいえ、元総理にたどり着くと思えないこと。
たとえ、うらみがあったとしても元総理を排除することで事態が改善するとは考えられず、犯人のうらみをはらずという目的を達することはできません。
そう考えると、犯人の行動は本人は恨みだと思っていたとしても、吹き込まれた信念であると考えるとしっくりくるのかもしれません。
その後の動きから
各国はそろって追悼の意を表しています。
また、与党内のみならず、普段対立してる野党からも哀悼の言葉が送られました。
ですが、その後、中国系のWeChatで掲載された動画では、犯人よくやった、という内容のコメントが盛りだくさんでした。
そして犯行が起きたのは選挙の二日前。
なぜ、このようなタイミングなのか、そして、中国系SNSで暗殺を応援するコメントが書き込まれるのか。その背後には、何かあると感じざるを得ません。
洗脳や暗示はあったのか
犯人の発言、宗教団体への恨み、というところから、誰もが忘れ去りそうな当たり障りのない理由であると思われます。
詳しく調べればその内容の真偽を調べられこれからわかることもあるかもしれませんが、公表すべき内容でない場合は秘密とされるはず。
そして、少し話は飛ぶのですが、確認した映像で気づいたのですが、発砲に関して迷いなく一直線に犯人は総理に近づいています。
また、犯人は罵声を浴びさせることなく、叫ぶこともなく、無表情に騒がずに近づいています。
その後の行動も暴れることなく、SPに素直に組み伏せられて捕まりました。
つまり、信念をもって使命にも近い意志をもって殺人を殺そうとして目的を達成したから、おとなしくなったわけです。
また、取り押さえられた時には暴れることもなく素直に従っているところも恨みによる犯行としては違和感が生まれました。
この動きからすると、命を懸けて任務を達成したときの兵隊の動きのように感じます。
軍人は命令に従うことを意識づけられていることから、催眠による暗示にかかりやすく、洗脳を受けやすい存在。
そのことからも、外部からの影響を受け犯人の中に暗殺を実行すべきという信念が生まれたと考えるのですが、本当のところはどうでしょうか。
まとめ
元総理大臣が殺害されたということで警察は殺人事件として全力で解明に向かうと会見で発言しました。
おそらく、本当に全力を挙げて解明に向かうと思いますが、他からの圧力があるにしてもないにしても、おそらく実行犯の単独の犯行として片づけられるでしょう。
自尊心が高い割には年収が低く、孤独な場合、社会や他の人から認められていないと感じ、そこに耐えがたいストレスを生じます。
その心の隙間に着け入れられると、簡単に信念が相手の思い通りに篭絡されてしまうのです。
特に、狭い空間、狭い人間関係、狭い社会、と外の世界から切り離されたトンネルの中に入り込んだ時、それが起こります。
宗教団体はその状況を作るのにとても便利な存在。
この一連の流れ、なぜか、喪黒福造を思い出しました。
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