フロイトが父を亡くした時に見た「トゥーン伯爵の夢」の夢判断とは

トゥーン伯爵の夢とほ、フロイトが実の父親を亡くした後にみた夢

尊敬していた父親の葬儀に遅刻したことを悔やみ、罪悪感を感じていたときにみたものです。

 

トゥーン伯爵の夢は、生きなかった夢へと続く一連の自己分析に使われた夢であり、フロイトがエディプスコンプレックスを見つけるきっかけとなったもの。

そんなトゥーン伯爵の夢とはいったいどのようなものだったのでしょうか。

 

トゥーン伯爵の夢の前のフロイトの状況

トゥーン伯爵の夢を見る前のフロイトは、ちょうど40歳になった時に、81歳の父親が他界した時でした。

この時、フロイトは、理髪店で時間を取ってしまったため、尊敬していた父親の葬儀に遅れています。

 

そんな状況の中だったので、フロイトは自己分析を進める中で、心の中にある種の罪悪感があることに気付きます。

この後に見た夢がトゥーン伯爵の夢。この夢のストーリーは次のようなものです。

 

エディプスコンプレックスの発見のきっかけ「トゥーン伯爵の夢」

トゥーン伯爵は当時政界で権力を持っていた大御所でした。

そのトゥーン伯爵と夢の中のウィーンの駅で出会ったフロイトは、競争心が芽生え、わざわざ一等席の客室に乗ります。

 

そして、この夢の後半では、中年の紳士と二人で駅にいます。この紳士は片方の目が見えません。

フロイトはこの紳士をお世話して、目が不自由だからトイレに行けないからと尿瓶を差し出します。

 

そしてその紳士がそこに用を足すという夢でした。

この夢を分析したフロイトは、次のようなことに気付きました。

 

トゥーン伯爵の夢に関するフロイトの自己分析

この夢を分析していく過程でフロイトは、父より優れているという優越感、父を超えようとしている願望がこころの奥にあったことに気付きます。

目が不自由な紳士という象徴は、かつて父が白内障の手術をした時に自分がとても活躍したことを思い出しました。

 

また尿瓶を差し出すという夢の意味は、フロイトが小さい時におねしょをして父親に怒られたという記憶につながります。

これらのことからフロイトは、自分の心の中に父親を超えたいという願望があったことに気付きました。

 

そしてフロイトは、ついに衝撃的な夢、生きなかった夢を見ることになるのです。

自己分析を深めていく中で徐々に抑圧が緩んで生々しいあらわな夢を見るようになったのです。

 

まとめ

以上、「フロイトが父を亡くした時に見た「トゥーン伯爵の夢」の解釈とは」を神戸ヒプノセラピー、催眠療法ベレッツアがお伝えしました。

夢判断はフロイトの精神分析の基礎をなすものであり、夢自体が無意識への入り口です。

 

ヒプノセラピーを行う時に入る催眠状態が、眠りにつく前のうとうとした夢見心地の瞬間とたとえられることもあるように、夢と無意識はとても近い存在

最後に、フロイトがこのトゥーン伯爵の夢をどう分析したのかそのの全容をおまけとして記しておきます。

(関連記事:夢は無意識の王道!フロイトの夢判断とは精神分析の出発点

 

トゥーン伯爵の夢の全容(おまけ)

トゥーン伯爵の夢のあらすじはすでに述べましたが、ここでは、もう少し詳細に記しておきます。

このトゥーン伯爵の夢は、1898年8月の初めにフロイトが見た夢

 

ミュンヘン近郊で行われた友人フリースとの会議を7月に行った後、アウスゼーに家族旅行に行く前に見た夢とされます。

その夢を見る前、フロイトはトゥーン伯爵をウイーン西駅のホームで見かけました。そこで伯爵は検察係に高慢にふるまっていたのです。

 

フロイトはその時、モーツアルトのフィガロの結婚のアリアを口ずさみ、革命的な想いを持ちながら伯爵と同じ待遇をしてもらおうと考えていました。

トゥーン伯爵はNichtstun伯爵、つまりナマケモノ伯爵とあだ名されていましたが、フロイトはこれから休みを取って旅行に行こうとしている自分こそナマケモノだと感じます。

 

その横では、医師資格国家試験の政府代表をしている人が公務員の権利を使って半額で一等客室を手に入れます。

ですが、フロイトは、便所もない客室の切符しか手に入らなかったので、乗務員に嫌味を言っており、その夜、尿意を催したフロイトが見た夢がトゥーン伯爵の夢です。

 

原文がドイツ語であり、言葉遊び的な部分があり日本語訳がうまくいっていないうえに、夢の内容であるがゆえに内容があいまいであり、意味が理解できないところがところどころあります。

夢分析をする側からすると、もっと聞きたくなるような内容ですが、そのあたりを含みながら見ることが大切でしょう。

 

フロイトが見たトゥーン伯爵の夢

夢の中でフロイトは学生集会でトゥーン伯爵が演説をしているところを見ています。ドイツ人にについて話すように言われたので、「ドイツ人の好きな花はフキタンポポだ」と嘲るように言いました。

そこで、くしゃくしゃに丸められた葉脈をボタン穴に通します。「私は激昂する、私はすなわち激昂する」。そう思ったことを不思議に感じたところ、場面が不明瞭になります。

 

大講堂にいるのですが、逃げ出さなければならないと感じています。両側には茶色と紫色の家具、美しい調度品がある部屋でお役所の部屋のようです。

廊下に出ると管理人の太った中年女性がおりフロイトは彼女と話をせずに済ませようと考えますが、フロイトがそこを通る資格を持っていると思っている彼女はフロイトに「ランプをもってご一緒しましょうか」と尋ねてきます。

フロイトはそれを制して中年女性の誘いを断った自分を抜け目がない人間だと感じました。そしてそこを下まで行くと急な上り坂の狭い道となります。そこでまた場面が不明瞭になります。

 

今度は街から出ないといけないと感じています。馬車に乗って駅に向かいますが、その馬車の御者がうだうだと文句を言ってくるので、鉄道の路線までは同行させないとその御者を説得します。ですが、すでに、鉄道までたどり着いていました。

駅は人ごみでごった返しており、フロイトは、クレムスかツナイムかどちらに行くべきか迷っています。結局宮廷のあるグラーツに行くことに決めると、車両の中に場面が移ります。ボタン穴にはより合わせた長いものが挿してあり、人々に注目される固い材料でできた紫がかった茶色のスミレがついていました。そこでまた、場面が不明瞭になります。

 

もう一度駅の前にいたフロイトは、盲目かそのふりをしている年輩の男の人と一緒にいます。誰にも見破られないように計画しており、その計画はすでに実現していると感じます。

フロイトはその男性に男性用尿瓶を渡すと、その男の人が用を足しているところをすべて見ることになります。

これが、フロイトの見たトゥーン伯爵の夢です。

 

フロイトによるトゥーン伯爵の夢の分析

夢の舞台となった時代が1848年というヨーロッパで一連の革命が起こった時期であったのは、ちょうど50周年の祝賀ムードに満たされていたせいだろう。

学生集会は学生の指導者フィッシュホーフの隠れていた土地を訪れた経験があったから。「50年前」というのが口癖の兄や、それを「15年前」と訂正する子供も意識に上ってきます。

 

伯爵の高慢さはフロイトが15歳の頃の場面の再現であり、ギムナジウムの教師に対しての悪だくみに加わった時、そのリーダーがヘンリー八世を名乗っていました。

その仲間のキリンというあだ名をつけられたひょろっとした体格の貴族が教師に呼び出された時、トゥーン伯爵と同じ態度で立っていました。

 

ボタンの穴に挿すとは、シェイクスピアの戯曲、イングランド王ヘンリー六世での場面、赤薔薇と白薔薇の内戦が始まる場面が連想されます。その二つの言葉から赤で表された社会民主主義と白で表された反ユダヤ主義の意味のカーネーションが現れてきます。

この言葉はドイツ語とスペイン語であり、ともにしおれていく花の歌。ザクセン地方を列車で旅行している時に受けた反ユダヤ的な挑発のせいだったかもしれません。

 

ドイツ系の学生協会でアードラ―に「ブタの世話をしていたが父の家に戻った」とバカにされたことに対して激昂したこと思い出します。ブタの世話をしていたのなら、そんな口調も不思議ではないと荒っぽく答えていました。

自分のドイツ民主主義を不思議に思い、アードラ―は挑発し、決闘することを促す心の声を制止して騒ぎをおさえます。

 

ここからドイツ語が絡むので感覚がつかみづらいのですが、フキタンポポは、レタス、サラダ、さらにサラダ犬となります。キリン、豚、荒っぽい、犬という言葉は相手をののしる言葉。

フキタンポポは夜尿と結びつき、それがサラダ用タンポポです。犬は糞を放つという意味からガス状排泄物となり放屁につながります。ここからイギリスやスペインとなり、無敵艦隊とヒステリー研究につながります。

 

この先は、夢の検閲機能が働いているため、分析不能とされているところでもあります。それを踏まえて見ていきましょう。

革命時代にいたある人に同一化しているようです。女管理人はフロイトが恩義に背いた女性としています。

 

幼少期の誇大妄想や自画自賛のテーマが現れているとされます。旅行のために買った新しいトランクが人目を引くものとして現れています。

夜尿をしていた2歳のころ、街で新しいきれいなベットを買ってあげると父親に語った出来事が尿瓶につながり、女性としてのトランク、男性としての尿瓶がつながります。

 

フロイトが7~8歳のころ、両親の前で排便したことを父親から「碌なものにならんぞ」と怒られたことで功名心を傷つけられた経験を思い出しています。この場面に似た場面がフロイトの夢の中には繰り返し現れており、そのたびに自分が今まで成し遂げてきたことをあげています。

結末の部分では、父親との役割交代によって父親に復讐していると感じます。そばにいる男の人は父親であり、男の盲目は白内障であり、父親の白内障はフロイトのコカインのおかげで手術が成功したとされ、フロイトの手柄。だから父親の言葉を否定するのです。

 

馬車の夢の部分は不条理な夢の例としてよく利用されます。御者が道を知らずに進んでいたことをとがめた昼間の記憶があり、貴族=国を御する御者、弟=兄の御者との推測、となります。さらに女管理人の家でVorfahren(父、横づけ、そそう等)やNachkommen(子孫、孫など)のような多くの意味を持つ言葉でのなぞなぞ遊びの記憶が甦ります。

くたくた、君とは行けない、走ってしまったというのは、弟との会話が原因であり、貴族の功績は手間暇かけて生まれた子孫だけだというフィガロのセリフに共感したこと、先祖を誇りにすることはばかげており自分が祖になった方がいいという考えがあったことに気付きます。

 

このトゥーン伯爵の夢は入間の注射の夢に次いで長い夢です。文学的な表現が多く、西洋の文化に慣れ親しんでいること、ドイツ語に堪能であることなど、西洋的な教養がなければ解読が難しいのがこの夢の特徴。

だから、生きなかった夢と同様に、細かいところは気にせずに大まかな流れをつかんでおき、フロイトは父親に対するエディプスコンプレックスをこの夢で見出したこと、そして、夢判断という夢の分析には連想することが大切というポイントを押さえることがわかればよいのかもしれません。

(関連記事:ジークムント・フロイトの夢判断のきっかけ「生きなかった夢」

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