こんばんは。
催眠を心理学で科学する、「催眠心理学」
神戸・大阪のヒプノセラピー(催眠療法)、ベレッツアです。
あなたは、「認知行動療法」という言葉を聞いたことはありますか?
認知行動療法とは認知療法と、行動療法が組み合わさったカウンセリングで行われる心理療法の一つ。
今回は、この認知行動療法とヒプノセラピー、催眠療法の関係を見ていきましょう。
認知行動療法とは
認知行動療法とは
アメリカ精神医学会のDSM-5によって、
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について臨床的に効果があるとされている心理カウンセリングの手法です。そして、成り立ちは、認知療法と行動療法が結びついたもの。
まず、この二つの心理カウンセリングの技法に入る前に、認知行動療法とはなにか、について考えてみましょう。
人はまず、外界から影響を受けます。
山であったり、川であったり、ビルであったり、一軒家であったり。池や沼、海でも構いません。外から情報を得ることから始まります。
今回はこの写真を例にとってみましょう。
あなたは、上の写真を見てどう思いますか。
海が目に止まりましたか?それとも建物群?はたまた、奥の山?いろんな視点がありますよね。
このように、人によって同じものでも、認識できるもの、意識に飛び込んでくるものが違います。この意識に飛び込んできて、あなたが認識するその行為を”認知”といいます。
この認知として、山に目が留まる人もいれば、海が目に止まる人もいる。このように、同じもの(風景・状況・状態)を見ても、聞いても、匂っても「認知」は千差万別なのです。
また、感じ方についても同じ。あなたが、海を見て感じる印象はどのようなものでしょうか?
綺麗?潮の香り?潮臭い?波の音?それとも明るい陽射し?暖かな空気?このように感じ方も人それぞれで、千差万別なのが分かりますよね。
そして、その生じた感情、つまり認知した感情から、何をするかという行動が生まれます。例えば、海のいいイメージが浮かんだら、
とか、考えるかもしれません。
また、海で失恋の記憶が思い起こされたら、
と考える人もいるでしょう。
また、海は嫌いな人なら、意識が海から離れとして、
とかいった行動に移すことになります。
そしてそのように、あなたがとった行動の結果、とても気持ち良くなったり、嫌なことを忘れたりできたら、そのとった行動がますます好きになります。そうすると、そのとった行動と同じ行動を繰り返すようになってしまうのです。
この一連の過程が認知行動療法の基本的な考え方となります。
絵で表すと、下の図ですね。
いつでも、あなたは環境から何かしらの情報をえています。そして、その情報があなたの思考に刺激を与えるとき、あなたの心の中に感情が生まれる。
そして、ドキドキやワクワク、ゾクゾク等の身体反応が生じて、なにかしらの行動に移すようになるのです。この認知、感情、身体、行動は、それぞれ、お互いに結びつき、お互いに足りないところを補いあいながら、それぞれが強化されていきます。
ちょっとわかりにくいかもしれないので、具体的に説明しましょう。それでは、ケーキを例にとって説明してみますね。
それでは、あなたは、ケーキ屋の前にいるとしましょう。そのケーキ屋の前を通ると、ショーケースの中にケーキが見えます。
ちょっと興味を持ったあなたは、そのケーキを買ってみて、食べる。するととてもおいしかった。この経験って、とても幸せな経験ですね。
そうすると、次にそのケーキ屋の前を通った時には、ケーキ屋のケーキを見ただけで、おいしそうだと感じるようになるのです。
よだれが出る、ドキドキする。そして購入し、食べる。というわけですね。
で、食べるとおいしかったら、この行動はあなたの中で正しいものとして認識され、ドンドン強化されます。すると、そのケーキ屋を見ただけで、ケーキが欲しくなって買いに入ってしまうようになるのですね。
この一連の感情と行動が強化されると、ケーキ屋を見ただけで買いたくなるような思考がショートカットしてしまう機能も生成されます。この思考のショートカットを心理学用語では、「ヒューリスティック」とか、「バイアス」とか言います。
この「ヒューリスティック」と「バイアス」は、次のように使い分けがなされています。内容が良くても悪くても関係なく、思考のショートカットについて話すときは、ヒューリスティック。悪循環が強化されるような思考のショートカットの時は、バイアスということが多いですね。
少し余談が入りましたが、バイアスが生じると、途中の思考回路が見えなくなるので、なかなか、消し去ることが難しくなります。
とか感じる時も、何かしらのバイアスが働いていることが多くあります。
ですが、本人はバイアスが働いていることにほとんど気づくことがないから怖いんですけど。
※客観的に見ると、「生理的にキライ」とか、意味不明ですよね。
さて、話しをケーキに戻しましょう。
このバイアスが生じた思考回路を、客観的な認知に変えてしまうこともできます。
「ケーキはケーキであって、おいしいかどうかは分からない。」 だから、 「ケーキ屋を見る」=「ケーキを買って食べる」 という等式は成り立たない |
という認識まで回復させるのが、認知行動療法です。
つまり、このように主観的な認知「ケーキを見たら食べる」を客観的な認知「ケーキ屋を見ることと食べることは別」に変えるために、上の図の関連性を崩していくのが認知行動療法。
例えば、「ケーキを食べる」=「おいしい」「満足」を崩すために、砂糖の代わりに塩を使ったケーキを食べさせてみるのも一つでしょう。また「ケーキを買う」=「満足」の等式を崩すために、お金の減った財布を見せて満足以外の感情もあるという現実を見せるのも良いかもしれません。
このバイアスが生じた等式を崩すのは、その人の一番関連性の薄いところから攻めるのがセオリー。その時々によって、またセラピストによって異なるアプローチになるでしょう。
で、ここで、一般的に言えることがあります。それは、認知行動療法は、現実に行動と認知とのギャップを作るだけでなく、想像の世界でもその式を崩せば、バイアスが解消し、精神状態が普通に戻る効果があるということ。
例を挙げると、例のケーキ屋の前で、
という販売員の話を聴き、その横でそのケーキを食べている人が「マズイッ」という言っているのを聴いたとします。
すると、自然とあなたは例のおいしいケーキを売っている店が「梅干し入り塩ケーキ」のまずいケーキを想像の中で食べることになりますよね。それを想像したなら、あそこのケーキは全部おいしいわけではないと気付くことになる。
つまり、「ケーキ屋を見る」=「ケーキを食べる」という等式が崩れる。「ケーキ屋を見たからケーキを買う」というバイアスが働いた行動がこれで解消します。
(参考:心理カウンセリングと心療内科)
ヒプノセラピー(催眠療法)とは
ここで、ヒプノセラピー(催眠療法)の話をしましょう。
ヒプノセラピーは自分の意識・無意識の世界の中を自由に駆け巡る心理カウンセリング。そして、その心の中を洞察し、何が、あなたの解決が困難な事象と結びついているかを見つける作業であり、その結びつきを良い方向へ昇華させるテクニックです。
つまり、認知行動療法を想像の世界で行っているという解釈をすれば、認知行動療法=ヒプノセラピー、催眠療法といえるのです。この証拠に、認知行動療法は、第1世代の行動療法、第2世代の認知療法、そして第3世代の認知行動療法へと発展しています。
最近はマインドフルネスや、大正時代の森田療法などが最新の認知行動療法として見直されているのもあなたはご存知かもしれません。この認知行動療法の推移からしても、ヒプノセラピー、催眠療法とは結びつきの深い、心理療法と言えるのではないでしょうか。
言い換えると、心理学の生みの親である、催眠療法(ヒプノセラピー)は、認知行動療法の最先端であるんですね。
認知行動療法の第1世代
認知行動療法の第1世代のポイントは、「行動」。パブロフの犬が好事例です。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、パブロフとはロシアの医者。そして軍医として働いている時に、行動主義の心理学を発展させます。その時行われた実験群の一つの事例がパブロフの犬。
犬に「チーン」と音叉を鳴らしてからご飯を上げるのを繰り返すと、「チーン」という音だけで、よだれが出る反応が生まれたという話です。
これは、レスポンデント条件付けとも言われる条件反射。同じようなものにオペラント条件付けというものがあります。
この、オペラント条件付けとは、ある刺激(喜びや嫌悪、報酬や罰)といったものを与えて行動を律しようとするもの。いわゆるアメとムチですね。
子供が勉強しないときに「勉強したらケーキを買ってあげる」とか、「勉強しないとスマホを取り上げる」とか言ったことをすることはありませんか。これが繰り返されて条件付けされると、「勉強する子が出来上がる」、ということ。
ここで、気を付けておかなければいけない事が一つあります。それは、パブロフの条件付けがなされた後の話です。
パブロフの実験の後、洪水が起こって訓練された犬がおぼれたんですね。
つまり、恐怖にさらされたんです。
そうすると、その後、その犬たちから訓練結果である反射反応が消えていたんです。これは、つまり、強度な恐怖を与えて律しようとするのは、教育効果としては逆効果となることがある。
ということ。
親として、つい子供を叱って「教育だ」という人が多いのですが、実は、ほめて伸ばす方が、効果が大きいという根拠はここにあります。だから、本当の教育と、教育の仮面をかぶったストレスのはけ口との境を見失わないことが大切。
この部分は催眠療法に当てはまるところですが、催眠は繰り返すほど、強化されます。催眠は1回目より2回目、それよりも3回目とはいる回数が多いほど早く、強く、深く入ります。
この催眠の理論は、パブロフの条件付けと同じく、繰り返せば、反応が強化されるというところと合致しますよね。
催眠に入って、少しだけ覚ました後、再び催眠に入れるということを繰り返すと、より深い催眠に入ることができる。という手法がありますが、これもいわゆる条件付けですね。
催眠に入って出る。それを繰り返すことで、強化される。というのは、行動主義の理論も催眠を実証していると言えるのではないでしょうか。
(参考:洗脳と催眠と心理カウンセリングと)
認知行動療法の第2世代
次に、行動療法から認知療法へ進んでくのですが、その理由には、行動主義、行動療法は上で見たように限界があったことです。
確かに条件付けで心理療法としての効果がある人もいるのですが、それだけでは解決できない心の問題を持った人もいるのです。
たとえば、外から帰ってきた時の手洗いをずっと続ける子供がいたとします。
そのような子供に対して行動療法を行うには、その子が手洗いを続ける理由が、どういう理由であったとしても、「家に帰る→手洗いをする」という図式が成立しているとすれば、「家に帰る→お母さんにその日あったことを報告する→手洗いをする」といった風に、問題になる行動と行動の間に何かをはさんでします。
おやつを食べるであったり、スマホでメールをチェックするでも構いません。家に帰ることで手洗いが止まらないのであれば、そのことを辞めるための条件を付加するればいいのです。
うまくいけばいいのですが、100%でないことも事実。そんな時に出てきた心理療法が、第2世代の認知行動療法、「認知療法」。
この「認知療法」とは、物事のとらえ方「認知」を変えようということ。
手洗いをしなければならないという強迫観念を得ている子供に対して、カウンセリングを行い、どこに問題があって、その行為が強化されているのかを見つけ出します。
そして、その行為を導き出している認知、思考を変えてしまおうということなのです。
学校から帰ってくるという事実は変えようがありません。ですが、「学校から帰ってくること」と「手が汚い」と結びつく何かを見つけ出します。つまり、カウンセリングにおいて、その「学校から帰ってくること」と「手が汚い」との結びつきが思い込みであることを認識させるのです。
簡単そうに聞こえますが、これは実のところ、かなりのカウンセリング技術が必要。
多くのカウンセラーが「アドバイスをする」という間違いを犯します。なぜなら、カウンセラーは常に見立てを行っており、どこにクライアントの問題点の原因があるかと探しているから。
で、問題点担っている解決策が見つかったと思ったらつい
とアドバイスしてしまうのです。
これは大きな間違いです。
アドバイスされるということは、今までの自分の経験や、培ってきた思考考え方、ひいてはあなた自身を全否定されることにつながるため、アドバイスされた人は、まともにそのアドバイスを聞くことができません。
親が勉強しろと言っても聞く耳持たずなのが、ここに理由があるのです。勉強しようとしている時に言われたら親に勉強しろと言われたらなおさらですよね。
さっきの手洗いのことに戻してみると、
とかアドバイスしても、
と防御線を張ってしまうでしょう。
だからこそ、治したいと思うクライアントには、実力のあるセラピストを選ぶことが大切で、必要なこと。
つまり、セラピストを選ぶのであれば、「聴く」ことができる人を見つけることをおすすめします。
ここで、催眠療法の話をしますね。催眠療法では、その方法がどの方法であったとしても、必ず最後に振り返りの時間を設けます。それは、退行催眠でも、インナーチャイルド、前世療法でも、同じ。
といった風に。
種明かしをするようですが、ヒプノセラピー、催眠療法では、自分で気付く瞬間を大切にしているのです。気づきを得るまでのアプローチは他のカウンセリング技法と異なっても、本質的な部分、「自分で気付きを得ることの大切さ」は変わりません。
ここが認知行動療法と同じ(ほかの心理療法も含めて同じ)と言っている根拠なのです。
(参考:ベレッツアのヒプノセラピーは前世体験の資格が取れる催眠療法)
第3世代の認知行動療法
さて、冒頭でもお話ししましたが、認知行動療法は第3世代にはいっています。
まず産業革命で人が合理主義を求めた結果生まれた第1世代の「行動療法」。
さらに、近代化が進み、個人が集団の中での関係性を必要とされるようになり生まれた「認知療法」。
そして、ポスト近代化と言われる高度に情報社会化された現代。
この現代は、常にだれかとつながっている、つまり自分のプライバシーの境界が見失われやすい時代。
だからこそ、行動療法と認知療法のお互いの長所を生かし、短所を補完できる「認知行動療法」が生まれたのです。
そして第3世代と呼ばれるACT(Acceptance and Commitment Therapy
例えば、うつの人は、「もうだめだ」とか「自分は最低だ」とか考えがちですが、もうだめだという考えに結びつく行動をブロックせず、受け入れます。自分は最低だと考えること、生まれてくる感情も認めます。
その上で、
- 感情はどのように生まれてくるのか、
- 行動と認知の結びつきの問題点はどうした生まれるのか、
- 客観的に見ることの大切さ、
- 協力することの大切さ、
- 自分を大事にし、他者も大事にする考え方、
そんなことを学び、体得して、心の重荷を楽にする技法がACT。
例えば、あなたと他者と喧嘩腰で口論しているとします。
主観的に見ていると周りが見えませんが、客観的に一歩引いて見てみれば、自分たちがどう見えているか、何が論点で、どう対処すべきなのか、冷静に考えれば今の状況を脱する方法で思いつくことは無限にあります。
そんな気付きを与えるのがACTです。
NLPの技法、アソシエイトとディソシエイト
さて、またまた催眠療法と見比べてみます。
ここで、NLPの技法、アソシエイトとディソシエイトについてお話ししておくべきですね。
アソシエイトとは、主観的に物事を見ている状態で、実際に目の前に物がある状態。
ディソシエイトとは、客観的に物事を見ている状態で、ちょうど、窓ガラス越しに部屋の中を見ている状態です。
言い換えると、映画を見ている時、入り込んで主人公になり切ってみている状態がアソシエイトで、映画館に座って画面を見ていると認識しながら見ている状態がディソシエイト。
ここで、つたえたいのは、催眠療法では、このアソシエイトとディソシエイトを使い分けていくということ。催眠では、依頼者のイメージの世界、無意識(深層心理)に入っていった後、依頼者(クライアント)からストーリーが語られます。
そのストーリーのナビゲーターとして存在するのがヒプノセラピスト。
ここで、催眠療法、ヒプノセラピーでは直接答えを教えるのではなく、依頼者のイメージの中で問題の核心部分を探しながら、その核心に気づけるように誘導していくのです。
依頼者のイメージを壊さず、増強して、映画の中に入ってもらうにはアソシエイトできる状況を創り出します。また、問題の核心に近づいた時には、一歩離れて他人事のように思える位置から問題の本質を見ることができるようにナビゲートします。
これができる人が優秀なヒプノセラピスト。
普通のカウンセリングでも、ほぼ同様のことが行われますが、現実世界での話であり、イメージの世界に入っていない分、アソシエイトしにくい状態になります。
つまり、常にディソシエイトした状態で問題の本質に踏み込まなければなりません。
映画を2時間も見続けるのは、映画のストーリーの中に気持ちが入るからこそ、見えること、聞こえること、感じられること、があります。映画のシーンを客観的に見ても「ふーん」で終わってしまいますよね。
だからこそ、アソシエイトしやすい催眠療法が心理療法の最高峰であるという理由なのです。そして、この考え方はACTの「生きやすさを見つける」という心理療法にも通じるところが大きいのです。
(参考:ヒプノセラピー(催眠療法)とは)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今はやりの認知行動療法。そして、古来よりある、催眠療法、ヒプノセラピー。
両者は最先端にして最古参であり、両者は今の時代に求められている心理療法であり、両者は現代人に必要とされるカウンセリング技法なのです。
心の悩み、抱えきれない心の重荷は、一人で抱え込むのは、とても辛く、難しく、困難な道のり。催眠療法、ヒプノセラピーが怪しい、根拠がない、詐欺だという方がいますが、本当にそうでしょうか。
催眠療法、ヒプノセラピーはカウンセリングの本質的な事項はすべて満足しており、下手なカウンセラー、モンスターカウンセラー、似非セラピスト、それらに類するものとは一線を画した技法であることは、今までお話ししたことで証明されています。
これらが、私が、ヒプノセラピー、催眠療法を一押しする理由なのです。
あなたが、良きカウンセリング、良きセラピー、素晴らしいカウンセラー、素晴らしいセラピスト、そして、最高の心理療法と出会い、最高の生活、最高の人生を送れるよう、祈っています。
ベレッツア 高橋
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