催眠術って単なる思い込みだと思うんです。
催眠療法をやっている自分が言うのもどうかと思いますし、このように断言すると多くのヒプノセラピストから反論されそうですが、あえて言います。催眠術って単なる思い込み。
というのも、催眠術って、催眠術をかける側が相手に何か語り掛けてその通りに行動してもらうことですよね。
たとえば、あなたは眠くなる、と言っていると、目が重くなって寝たようになってしまうわけなので、かけられた側が自分は眠くなるんだ、と思い込むから目を閉じるわけです。
もしここで、自分は眠くないんだ、と思っていたら、瞬きをしたとしても目を閉じることはないでしょう。つまり、思いこむことで催眠術が完成しているといえるのではないでしょうか。
催眠術は思い込み、を英語で言うと
催眠術は思い込み。これを英語で言うと、どうなるのか。
そう思ってGoogle翻訳を使ってみると、「Hypnosis is a belief」となりました。
これって面白くないですか?催眠術は思い込み、っていうのが催眠術は信念である、となるのですから。
催眠療法の催眠は催眠術とは違う、ということを相談に来た人に最初にお伝えして、ショー的な催眠術とは全く違うものということを理解してもらうのが初回面接で行われます。
でも、催眠術が思い込みであり、思い込みが信念なら、催眠療法の催眠と催眠術の催眠は同一であるといってもいいのではないかと思うわけです。
催眠術がHypnosisであり、催眠療法を英語で言うとHypnotherapyなので、hypnosisを使ったtherapyであることはだれの目から見ても明らかでしょう。催眠療法の初回面接でそれを違うものだと伝えるのですが、同じであるといってもいいのではないか、と思うのです。
催眠療法の催眠と催眠術の催眠は一緒?
催眠術というと多くの人が思いつくのが、眠れと言って眠ったり、犬になれというと犬のような行動をとったりする場面でしょう。
で、これらとは違うというスタンスをとるのが催眠療法。なぜなら催眠術はいかにも催眠術者の思い通りに動いているように見える派手な活動だけれど、催眠療法は静かに思考を深めてイメージすることに集中する静かな活動だから。
でも、これって、実はかけられている側がそう思っているからそうなるだけなんです。もし嘘だと思うなら、催眠術を掛けられるときに、自分は絶対に催眠術にかからないと自己暗示をかけ、術者が語ることをすべて聞かずに全く逆のことをしてみてください。そうすれば、サルの真似をすることもないしいきなり眠ったりすることも変な行動をとることもなく催眠術は確実に失敗します。
人はしたいと思うことはしますが、したくないことはできないようにできています。これは心理学でも通説で、コーチングやコンサルティングなど人を導く仕事をしている人には一般的な事実。
つまり、したくない、と思い込んでいることは、どんなことがあってもしないのです。催眠術でいきなり服を脱げ、といわれて脱ぐ人は露出狂ぐらいで多くの普通の人は脱ぎません。思い込みを変えることは自分が変えたいと思わない限り変わらないし、変わることを自分が許さない限り変えられないのが思い込みなのです。
思い込みは信念
英語を見ていただければわかるように、思い込み、を英訳するとbelief、つまり信念。
思い込みって、否定的な形で受け取って間違ったことを思い込むことを想像する人が多いと思いますが、実は肯定的な正しいことを思い込むことも思い込みです。
辞書で調べていただいてもわかるように(ウィキペディア「思い込み」)、強く信じることが思い込みであって、そこには否定も肯定もなく、あくまでもフラットで中立であって強く信じることが思い込みなんです。
その思い込み、つまり、信じていることを催眠術者の言葉で信念の方向を変えていくのが催眠術。つまり、催眠術とはそうなる、という思い込みを作ることであって、術者が語る言葉を信じてもらう方法が催眠術だということになります。
催眠術にかからないのも一種の信念
さて、誰でも催眠術にかかるのかというと、そうではありません。
ではどういう人が催眠術にかからないかというと、催眠術にかからない、という信念を持っている人。言い換えると、催眠術者の言葉を聞き入れない人は催眠術にかからない、ということになります。
どうしてこう言えるのかというと、相手の言葉を聞き入れなければ、自分の持っている信念が変わることは絶対にないから。
相手の言うことを聞き入れなければ、相手の言うように信念も変わりませんから、結果、催眠術にかかっていない、ということになります。
たとえて言うなら、学校で授業の時に先生の話を聞いていなければその内容を理解できないし、記憶にも残らず、テストでも答えられない、という状況と同じことだといえるでしょう。
信念を変えるのが催眠術なら催眠療法の効果は実証される
信念を変えることが催眠術なら、マイナスな信念をプラスの信念に置き換える技術である催眠療法も催眠術。
催眠術で信念を変えることができるのであれば、催眠療法で信念を変えることも可能であり、その効果も催眠術で実証済みということになるでしょう。
「信念が変われば、思考も変わる」
「思考が変われば、言葉も変わる」
「言葉が変われば、行動も変わる」
「行動が変われば、習慣も変わる」
「習慣が変われば、人格も変わる」
「人格が変われば、運命も変わる」
インドの指導者マハトマ・ガンジーの言葉ですが、これ似た言葉は世界中にもたくさんあり、松下村塾の吉田松陰も
夢なき者に理想なし、
理想なき者に計画なし、
計画なき者に実行なし、
実行なき者に成功なし。
故に、夢なき者に成功なし。
と言っています。夢や理想を「こうなりたい」、「こうするのだ」という信念と置き換えれば、信念がなければ成功しない、人生レベルでの成功は得られない、ということになるでしょう。
信念を変えることで、変化のトリガーとなる行動が生まれ、人生も運命も変えていくことができるのです。
まとめ
催眠術とは、思い込みなのかもしれません、ということでお伝えしてきました。
催眠療法をやっていると、催眠について催眠術とは違う、というスタンスを取りがちになります。
そのほうが説明が楽なのですが、そうやってばっさり切り捨ててしまうと、「同じ兄弟なのに、あいつとは違う」といっているようなもので、聞く側にとっては違和感が残るのではないでしょうか。
催眠療法の催眠も催眠術の催眠も結局は同じ催眠であって、望む方向へ信念を変える技術である、というように見るほうが素直にとらえられるのかもしれません。
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