こんにちは。
神戸ヒプノセラピー、催眠療法のベレッツアです。
アメリカの心理学者に、ダニエル・レヴィンソンという人がいます。
レビンソンの理論は人生を4つの段階に分けた生涯発達の理論。
この人生を4つに分けたそれぞれの時期が、ちょうど四季にピッタリとあてはまっていると言われます。
そんなレビンソンの四季を使った人生観を見ていきましょう。
ダニエル・レヴィンソン
ダニエル・J・レビンソンとはアメリカのイェール大学で教鞭をとっていた心理学の教授。
その環境から、多くの協力者を得ることができ、アメリカの中年男性へのインタビューも数多く行いました。
この大学教授という立場で研究したことは、ライフサイクル理論。
インタビューを通して実証研究を行って、個人と社会とのかかわり方に注目します。
そして、個人と社会の関係性と変化について分析することで成人期を中心に、レビンソンならではの生涯発達理論を展開しました。
そんなレビンソンのライフサイクル理論を見ていくことにしましょう。
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レビンソンの生涯発達とは四季を使った人生観
レビンソンのライフサイクル理論は、大きく分けて4つの段階をとらえ、人生を四季に例えました。
児童・青年期を春に、成人前期を夏、中年期を秋、そして老年期を冬に例えています。
春に芽生え、夏に大きく成長し、秋に収穫の時期を迎え、冬には種が来年春に芽生えるための準備を行う。
そのように例えているのです。
この4つの段階を結ぶ期間をレビンソンは、過渡期と称して、次の段階に移り変わるときとしています。
それぞれ、成人への過渡期、中年への過渡期、老年への過渡期としています。
そして、その発達期の中においてもそれぞれ少しずつ変革が起こり、過渡期が現れるとしています。
分かりやすく表現すると、次の図のような発達段階があると言えるでしょう。
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レビンソンのライフサイクル理論
レビンソンはこのように発達段階を分けています。
大きくは、児童・青年期、成人前期、成人中期、成人後期(老年期)。
この児童・青年期から成人へ温過渡期は、これまでの保護され、養育されてきた環境から、大人の世界にその生活の軸を移す時期です。
未成年時代の自分を見直してより自分らしく修正することが必要。
そして、大人の世界の可能性をしっかりと横から見て考え、成人としての初めてのアイデンティティを確立する時期でもあります。
成人として、生活するためにところどころかじりながら、自分で決めて自分で試してみることが重要になってくる時期でもあります。
次に、40~45歳で現れる人生半ばの過渡期は、中年期への移行準備。
今まで無視してきた自分の側面にも、触れていくことが必要で、生活構造が変わっていくのに合わせて新しい生活構造に変えていくことが必要です。
この中年期は、必ず安定するというわけではなく、人によっては中年期の危機が訪れることも。
人生半ばの過渡期にあまり変化がなかった場合は、50歳くらいの成人中期に危機になることもあります。
それぞれの発達段階において過渡期があり、生活構造の安定期と過渡期が交互にやってくる。
成人期は例えば、就職や結婚、出産や育児、離婚や退職など様々な重大なことが起こります。
また自分自身の身体的なおとろえと心理的な衰えにも直面する時期。
今まで過ごしてきた人生と同じ生き方では、もはや維持できないと感じる危機感がうまれ、アイデンティティを再構築する時期でもあります。
また、レビンソンは、中年期に特有の危機である4つの葛藤があるとしました。
その4つの葛藤とは、
- 若さと老い
- 破壊と創造
- 男らしさと女らしさ
- 愛着と分離
中年になると、その発達課題も両極端なことの調和を取ることも求められるようになります。
若いと思っていても、実際には年を取ったと感じたり、周りの人が死ぬという破壊と子供が生まれ、孫が生まれるという想像も入り乱れます。
中年の過渡期では、自分の中に男性的な部分や女性的な部分が同時に同居していることに気づきます。
おじいちゃんが孫をかわいがるような母性が出るような男性と女性の両性の共存を認めることが必要になるのです。
そして、子供に対する愛着が生まれると同時に親離れも必要に。
愛着があるから分離があるのであり、分離があるからこそ愛着の重要性が理解できるようになるでしょう。
また、レビンソンは男性だけでなく、女性にもアンケートを実施したところ、男性も女性もおおむね同じ発達段階を辿ることがわかりました。
ただ、男性が仕事中心の生活設計をするのに対し、女性は仕事と家庭のはざまで葛藤が生まれやすいようです。
(関連記事:エリクソン,E.Hのライフサイクル理論とは!人生の8つの発達課題)
まとめ
以上、「ダニエル・レヴィンソンの理論、生涯発達とは四季を使った人生観」をお伝えしました。
四季になぞらえた4つの発達段階とそれぞれの過渡期、中年期における4つの葛藤が発達課題としてやってくる。
ただし、度の発達心理学でもいえることですが、必ずしもこの流れの通り発達していくとは限りません。
発達段階を飛ばして次のステップに進むことや、また前のステップに戻ることもあるので、絶対このような段階を踏むといったような画一的な考え方は禁物です。
レビンソンは、ユングやエリクソンらのようにライフサイクル理論を提唱した心理学者であり、その理論は、発達課題の問題に出会った時にとても参考になる考え方。
安定期と過渡期が交互にやってくるレビンソンの発達理論がわかれば、心理臨床の現場に役立つのではないでしょうか。
(関連記事:エリクソンのライフサイクル理論でのアイデンティティは心理学の基礎知識)
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