死にたい。死ぬしかない。なぜ、希死念慮は病んだ心に棲みつくのか

こんにちは。

催眠を心理学で科学する「催眠心理学」

神戸ヒプノセラピー、催眠療法ベレッツアです。

 

死にたい。死ぬしかない。

そんな、死にたいという思いに憑りつかれたことはないでしょうか。

 

そんな死にたいと思う気持ちである「希死念慮」とは、実はあなたを守る最終手段なのです。

つまり、死ぬことによって、さまざまな問題を解決するための方法として死を選ぶことであなたを守ることができると考えること。

 

  • 死にたい
  • 死ぬしかない
  • 全て打ち壊したい
  • 全てを投げ出したい
  • 全部捨ててしまいたい
  • 何もかもから逃げ出したい
  • 永久に消え去りたい
  • ずっと眠りたい
  • ・・・

このような想い、希死念慮が、なぜ、あなたを守ることにつながるのか、見ていきましょう。

 

希死念慮とは

希死念慮とは、死を望み、念じて慮る、つまり、自分の死を願う気持ち

一般には、死にたいとか、死ぬしかないといったような自殺を明確に考えている自殺念慮を希死念慮とみなす人が多いですが、希死念慮とは、それだけではありません。

 

消え去りたいとか、ずっと眠っていたいとかという消極的に自分の存在を消したいという意識も含まれます。

若い人が自分の死を願うことも希死念慮ですが、長生きしたおじいちゃんやおばあちゃんが、もうそろそろ、お迎えが来ないかな?なんて考えるのも希死念慮。

 

この希死念慮は、死にたいと思ったからといってすぐに自殺につながるわけではありません

ですが、自殺の可能性は健康な状態よりも高くなっているので注意が必要です。

 

精神科に通えば、症状を緩和する薬を処方されますが、その薬も絶対的な効果があるわけでもなく、一時的に症状を緩和するにすぎません。

病院に行ったからといって完治することがほとんどないのは、他の精神的な症状と同じ。

 

その希死念慮を生み出す原因となる要因を取り除くか、環境を変えて原因に触れないことも一つの方法。

ただし、根本的な治療を望むならば、死にたいと思うその希死念慮が生まれる原因を原因ではないものに変えていくことが必要になるでしょう。

 

例えば、リストカットをしていた人が、ある時、傷が深かったため、縫合手術をしました。

その人は、縫合手術をしたことによってリストカットする部分が閉じられたという意識が芽生え、リストカットがパタッと止まったのです。

 

このように、原因を克服する、希死念慮となる原因を塗り替えることによって、ストッと止まることもあるのです。

これは薬で対応することが困難であり、心理臨床的な対応が相応しい症例といえるでしょう。

(関連記事:あなたの脳と心に働きかける最強の心理カウンセリング ~ヒプノセラピー~ 催眠療法のススメ。

 

死にたい。死ぬしかない。死にたい思いが大きくなる理由

さて、死にたいと思う気持ちは、なぜ生まれ、大きくなってしまうのでしょうか。

そもそも、人間以外の動物は、自分で死ぬことを考えることはなく、必死に生きることだけを目標に生きています

 

自分より強い獲物に対して攻撃し、殺されることはあっても、自ら死を選ぶことはありません。

集団自殺をすると言われてきたレミングもゲームとディズニー映画の影響で作られた虚構。

 

動物は必死に生きることをひたすら選ぶのに対して、なぜ人間は、死を選ぶのでしょうか。

実はそのこたえは、人間の脳が高度に発達しているから

 

人間の脳は、他の動物に比べとても灰白質が発達しており、思考にふさわしい脳になっています。

その灰白質は、本能である、性欲や食欲、そして睡眠欲などの欲求を抑える「抑制」という機能をコントロールし、人間としての理性が発達しているのです。

 

この抑制という機能が高度に働くことで、本能である性欲や食欲などを抑えるのですが、これが過度に「抑制」を始めると生きることに対して「抑制」をかけることになるのです。

そのため、医療機関が処方する薬は、これら人間としての理性を抑える「向精神薬」という名の麻薬を利用して、過度な「抑制」を取る、もしくは、本能的な欲求を刺激するのです。

 

心理カウンセリングなどの心理療法や心理セラピーなどの臨床的な処方では、この先鋭化してしまった理性をことばや絵画、コラージュ、音楽のようなイメージを使って、なだめて健康な状態へと戻します。

そのため、瞑想などの精神的で霊的なアプローチが功を奏することになるのです。

(関連記事:心理カウンセリングやセラピーと心療内科(病院)との違いとは

 

なぜ、希死念慮は病んだ心に棲みつくのか

ここで、希死念慮のことについてもう一度振り返ってみましょう。

希死念慮とは、死にたい、消えたい、ずっと眠りたいというような、自己の消滅を願う気持ち

 

損な希死念慮は、どうして、病んだ人のこころに棲みついてしまうのでしょうか。

そしてその人の命まで蝕もうとするのでしょうか。

 

希死念慮は、他の人から見ると、甘えだとか、逃げだとかと評価されることが多い思考。

ですが、本当はそうではなく、希死念慮は、あなた自身を守る最終手段なのです。

 

え、なぜ?病んだ人が死にたいとか、自分を消してしまいたいとかいう想いが自分を守ることにつながるの?

と、不思議に思うかもしれませんね。

希死念慮があなたを守るということを言い換えると、希死念慮は、あなたが人間としての尊厳を失いたくないための防衛策なのです。

 

どういうことかというと、あなたが普通に生活している時は、本来生き物として持っている本能レベルの欲望を無意識的に自分の理性で抑え込もうとしていることに根本的な原因があるということ。

人間も動物なので、本来は、もっとご飯を食べたいし、もっと眠りたいし、トイレにもいきたいし、エッチもしたい。これが正常な生物としての反応。

 

ですが、人間は、理性でこれらを抑え込むため、どうしても、あなたのこころの中で矛盾が生まれて、葛藤することになるのです。

この理性と本能の矛盾による葛藤にに疲れた時に、理性と本能のバランスが崩れます。

 

その葛藤に疲れてバランスが崩れてしまうと、本能が勝って理性による抑制機能が崩壊するか、理性による抑制が勝って生きる本能が希薄になってしまうか、どちらかの状態になる。

「抑制」機能が崩壊すると、暴力や暴言で相手をやっつけようとするし、「抑制」機能が本能を打ち負かすと生きることを諦めようとしてしまうのです。

 

また、その生命維持のレベルよりも高いレベル、会社で認められたい、あなたの成果を評価して欲しい、仲間に入りたいなどの社会的欲求や承認欲求においても同じこと。

認められなければ、欲求不満がうまれ、自己矛盾に陥ります。

 

そして、増大した欲求もしくは抑制側と打ち負かされた反対側との差はどんどんと開いていくことになります。

すると、人を殺しても平気になるという理性を失った暴力行為を生み出すか、欲望もろとも自分を消してしまおうとする自殺念慮、もしくは自殺行動に結びつくのです。

 

つまり、人間だけが持っている「抑制」機能という高いレベルの脳内の処理があなたを欲望まみれにすることを防ぎ、社会的な規範を守らせようとした結果、希死念慮が生まれます。

希死念慮は、社会的な規範から逸脱することを防ぐ、防衛反応であり、あなたがあなたを守ろうとしている自然な反応なのです。

 

とは言え、希死念慮は、決して健康的な精神に宿る思考とは言えません。

それでは、希死念慮があなたのこころの中に生まれてしまったら、どうすればいいのでしょうか。

(関連記事:いつか死ぬと思うと怖い。死ぬのが怖い、とパニックになる理由とは

 

希死念慮がこころの中に現れたらするべきたった一つのこと

それでは、このような希死念慮があなたのこころの中に生まれたらどうするべきなのか、考えてみましょう。

その答えから言ってしまうと、希死念慮があなたのこころの中に現れたら、その希死念慮とあなたの現状についてあなたが信頼できる相手に打ち明けること。

 

なぜなら、人は話すことで、自分の思考を整理することができます。

本来あるべき本能・欲求と理性のバランスに戻るために、あなたのこころの中を話すことによって、見つめなおすことができるのです。

 

ここで、話すことによって解決できるのかという疑問が生まれる人がいるかもしれません。

あなたのこころのバランスが崩れた原因は、他の人にはわかりません。

 

なのになぜ、信頼できる人に話すことが希死念慮に囚われたあなたができるたった一つのことなのか

その疑問には、次のような人間の特性が答えになるでしょう。

 

その理由は、話すことによって、頭の中が整理されるから。

何故整理されるかというと、希死念慮について話すことで、その周囲にある事象の因果関係が明らかになっていきます。

 

つまり、あなた自身で、希死念慮にまつわる記憶の意味ネットワークを浮き彫りに出来るということ。

意味ネットワークを浮き彫りにすることで、その因果関係が明らかになって、生きるための欲求と欲求の暴走を抑制する理性とのバランスが崩れたのかがわかるのです。

 

だから、あなた自身があなたのこころのバランスの状態を知り何が原因でどうすることで再び健康な精神状態に戻れるのかを知ることができるたった一つの方法が、信頼できる他の人に話すことになるのです。

希死念慮の根本原因に気づきその原因となる重荷を降ろすために、あなたが絶対的に信頼できる人に打ち明けてみましょう。

 

その時、どうすればよいかという答えを求める必要はありません。

あなたが、今の現状を話せばいい。事実とその時の想いや感情など、思いつくままを話すだけでいいのです。

 

この時、あなたの希死念慮を話す相手が、傾聴できる人であることが絶対条件。

あなたのことを裏切らない人に話すことが大切です。

 

信頼できる人がいなければ、医療機関、もしくは、熟練した心理カウンセラー、心理セラピストに頼むのが良いでしょう。

なぜなら、あなたの希死念慮はむやみやたらに話すことではないのですから。

(関連記事:死生観とは何なのか。日本人の死生観の歴史とその真実の意味とは

 

まとめ

以上、「死にたい。死ぬしかない。希死念慮はあなたを守る最終手段」についてお伝えしました。

希死念慮とは、死にたいという積極的な自殺念慮だけでなく、消えたい、ずっと眠りたいという消極的なものも含まれます。

 

もしあなたが希死念慮に囚われてしまったなら、あなたが信頼できる人、あなたの話を真摯に聞いてくれる人に話してみてください

アドバイスを受ける必要はありません。話すだけで大丈夫です。

 

そして、もし、あなたがそんな悩みを打ち明けられたら、真摯に傾聴すること。相手は、アドバイスが欲しいわけではないし、聞いてもらうだけで解決への答えを手に入れることができるのですから。

万が一、あなたの手に余るようなら、精神科などの医療機関や、地域の精神保健センターの相談窓口に相談してみるのも良い方法です。

(関連記事:死ぬことと生きること。死にたいと願うあなたが想うたった一つの真実

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