こんにちは。
神戸ヒプノセラピー、催眠療法のベレッツアです。
ミルトン・エリクソンとは、3本の指に入ると言われるほどの催眠誘導の技術の持ち主。
現代の経営学や経済学に応用されている心理学NLP(神経言語プログラミング)の原型がミルトン・エリクソンの催眠誘導です。
ミルトン・エリクソンの催眠誘導は、いつの間にか催眠状態に入っているように、それまでの権威的な催眠誘導とは、まったく異なるもの。
このミルトン・エリクソンの催眠誘導はカール・ロジャーズの来談者中心療法と同じように問題を抱えてこられた方と接する方法と通じるところがある催眠誘導術なのです。
(関連記事:ヒプノセラピー(催眠療法)とは)
ミルトン・エリクソンとは
ミルトン・エリクソンとは、20世紀最大の催眠療法家。
ヒプノセラピーのエキスパートです。
アメリカの精神科医であり、心理学者としても一流の学者でした。
アメリカ臨床催眠学会を創立しアメリカ精神医学会やアメリカ心理学会、アメリカ精神病理学会などのメンバー。
小さい時のポリオが原因で少年から成年に移る時期に発作を起こし、身体がマヒしてしまい、目だけしか動かすことのできない状態になったそうです。
そのときに、色々と家族の行動や発言を観察することで人間の心の動きをつかみました。
こうやって、ミルトン・エリクソンは心の動きをつかむという催眠誘導の基礎を手に入れ、大学において精神医学を独学に近い状態で学び、催眠に興味を持ったと言います。
大学時代だけでも、延べ2000人以上に催眠の実験を行い彼自身の催眠に対する知見を深めていきます。
このように、ミルトン・エリクソンは独学で催眠の分野を切り開いたことから、従来の古典的で権威的な催眠誘導とは一線を画する催眠誘導の始まりの芽がうまれたのです。
ちなみに、多くの実験から催眠には紫色が適しているということで、普段から紫色の服を好んで着ていました。
その後、ミルトン・エリクソンは、精神科医として勤務する中、その心理療法において催眠療法を多用していたのですが、催眠をかける相手を受け入れる催眠を使いました。
この催眠はエリクソン催眠と呼ばれ、とても許容的な催眠誘導。
こんなミルトン・エリクソンの催眠誘導を見ていくことにしましょう。
(関連記事:なぜ、今、ヒプノセラピー(催眠療法)なのか。)
ミルトン・エリクソンの催眠誘導の特徴
ミルトン・エリクソンの催眠誘導はエリクソン催眠と名付けられるほどとても特徴的な方法。
そのエリクソン催眠とはユーティライゼーションという技法の催眠誘導でした。
このユーティライゼーションとは、相手を催眠に導くの催眠誘導の時に、その場にある関係する全ての物事を使って催眠誘導。
利用できるものは何でも利用しようという姿勢の催眠誘導なのです。
ミルトン・エリクソンが行ったエリクソン催眠は催眠誘導の手法で、普通の会話を行うように、催眠誘導を行っていきます。
そして、催眠をかける相手の心に沿ったような誘導を行うのです。
例えば、イスが二つあったとして、「あなたが座りたいと思うイスはどちらですか?右のイスでも左のイスでも構いません。」といった後に、
「あなたが座りたいと思ったら座りたいと思うイスに座ってみませんか。」というようにイスに座らせるのです。
つまり、相手は自分が考えるように動いているつもりでも、いつの間にかミルトン・エリクソンの指示通りに椅子に座っていることになるのです。
もう一つ別の事例をあげてみましょう。
ミルトン・エリクソンのヒプノセラピーの途中に時計の音が鳴ったそうです。
それも、大きな壁時計で時間になると、ボーンボーンと時間の数だけなる時計。
ヒプノセラピーの途中で急に音がしたら、催眠が解けて意識が覚醒してしまうのが普通なので、多くのヒプノセラピストはそんなイレギュラーなことを嫌います。
ですが、ミルトン・エリクソンはそんな不用意な音に対してもの催眠誘導に利用し、「音が鳴るたびにもっと深く催眠に入っていきます。ボーン。深く入っていきます。ボーン。もっと深く・・」といったように。
このような会話の延長線上のような催眠誘導がミルトン・エリクソンの催眠誘導の特徴。
とても自由でその場の状況に合わせた変化にとんだ手法であり、ミルトン・エリクソン自身は、「クライアントごとに異なるアプローチをするべきであり、エリクソン催眠として体系化すべきではない」といっています。
とはいえ、誰にでもかけることができる催眠誘導はとても魅力的。
なので、ミルトン・エリクソンはの弟子たちがそれぞれの観点から体系化していきました。
特に、ジョン・グリンダ―とリチャード・バンドラーの作り上げたNLPと呼ばれる神経言語プログラムの基礎として、ゲシュタルト心理学のフリッツ・パールズ、家族療法のヴァージニア・サティアとともにモデルの心理療法家となったことでも有名です。
(関連記事:最古参「ヒプノセラピー(催眠療法)」と最先端「認知行動療法」の共通点とは)
来談者中心療法と同じ視点の催眠術
このミルトン・エリクソンの催眠療法は、現在でも多く使われているカール・ロジャーズの来談者中心療法ととても似た性格を帯びています。
来談者中心療法とは、その名の通り、心理的なカウンセリングを受けたいと訪れてきた来談者を中心として進めていく心理療法。
この来談者中心療法という心理療法の進め方は、次のように行われます。
それさえできれば、カウンセラーの知識や聡明さは必要なく、アドバイスを押し付けなくても、来談者が自分で気付くことができる。そして、その気づきを踏み台にして成長することができる。
というものが来談者中心療法。
ミルトン・エリクソンの催眠誘導と、来談者中心療法のセラピー。
この2つの心理的な技法は、相談に来たあなたが中心という点において、とても似た性質を持っているのです。
(関連記事:ゲシュタルト療法で感情を探るのは怖い?意味ネットワークでつながる感情の連鎖)
ミルトン・エリクソンの催眠誘導の例
ミルトン・エリクソンの催眠誘導は、許容的誘導法と呼ばれます。
それは、これまで見てきたように、ヒプノセラピーに来てくれた人やその周りの事象を含め、全て催眠誘導のリソースという材料にしてしまうから。
例えば、夕食後の汚れた皿を洗って欲しい時に、「そこの皿を洗っておいて」ということが多くないでしょうか。
ですが、ミルトン・エリクソンの催眠誘導では「洗っても洗わなくてもいいのですが、もし、あなたがよかったら、そこの皿を洗ってみませんか?」というように許容的になります。
許容的な誘導法はセラピーに来てくれた相談者に選択権を預けながらもお互いが手を取り合って催眠に誘導するようなイメージ。
ヒプノセラピーでよく使われる段階的リラクゼーション誘導法は、この許容的な誘導法に分類されます。
そんなミルトン・エリクソンの催眠誘導の許容的催眠誘導の例をあげてみましょう。
今回紹介する催眠誘導法は、目の開閉を利用したエリクソン催眠の例です。
いかがですか?とても気持ちよさそうではないですか?
権威的に命令されていない分、相談者側も受け入れやすくなるのが、多くの人に受け入れられる理由であり、許容的誘導法と呼ばれる理由。
ミルトン・エリクソンはこの許容的催眠誘導だけでなく、メタファーと呼ばれるたとえ話の活用や、特定言語パターンの利用、その相談者の体験談など、利用できるものは何でも使うユーティライゼーションという手法を確立しています。
だからこそ、ミルトン・エリクソンは20世紀最大の催眠療法家。
そしてその技法がNLPに受け継がれていくのです。
(関連記事:ベレッツアのヒプノセラピーで前世療法の資格が取れる催眠療法を体験)
まとめ
以上、「ミルトン・エリクソンの催眠誘導は来談者中心療法と同じ視点の催眠術」についてお伝えしました。
ミルトン・エリクソンの催眠誘導は普通の人にはまねのできないテクニックといわれています。
ですが、そのテクニック1つ1つは心理療法に携わるものとして必須のテクニックといえるでしょう。
ミルトン・エリクソンの全てのテクニックをマスターすることは無理だとしても、1つでも多く利用して心理療法に活かしていくことが必要でしょう。
(関連記事:ミルトン・エリクソンの心理療法は無意識に語りかける催眠療法)
おまけ(ミルトン・エリクソンの話し方を学ぼう)
下の動画はミルトン・エリクソンのchanging the situationという題で語ったの時の動画。
この動画で紫色のスーツに包まれたミルトン・エリクソンの独特な話し方を学んでみませんか?
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