こんにちは。
神戸ヒプノセラピー、催眠療法のベレッツアです。
真っ白く塗られた顔に、大粒の涙が落ちる、泣きながら笑うピエロ。
そのピエロの心理とはいったいどのようなものなのでしょうか。
こぼれ落ちる大粒の涙と、涙に似合わないちぐはぐな笑い。
その極端な感情に秘められた道化師の謎について探ってみます。
道化師とは
道化師とは、滑稽な格好をしたり、おかしな行動をとったりして、周囲の人を楽しませる人のこと。
その歴史は、古代エジプトまでさかのぼり、物まねや大道芸で裕福な家に招かれる芸人がいました。
ローマ帝国では、小人や知恵遅れ、奇形の人々を魔よけの奴隷として持つ習慣があり、16世紀くらいまで続いたといいます。
中世のヨーロッパでは、宮廷に雇われている宮廷道化師が盛んになり、宮廷だけでなく、宗教から世俗的な居酒屋などでも道化師がいました。
道化師には、色々な呼び方があり、先ほど出てきたジェスターと呼ばれる宮廷道化師、キングやクイーン、ジャックなど王族に関連するトランプのジョーカーのような道化師、サーカスで場つなぎのために出演するクラウン、そして、クラウンよりもさらにバカにされる役を演じるピエロがあります。
他にも、ホワイトフェイスとか、ブランク、オーギュストという呼び名もありますが、あまり一般的ではないかもしれません。
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泣きながら笑うピエロの心理
もともとは、その容姿など肉体的な障害を持つ人々が道化師であり、人々から笑われる対象であるのが道化師。
その道化師の中でもさらにバカにされるのがピエロなのです。
人々を楽しませるために存在しているピエロ。
だから、周囲にいる人たちが笑ってくれるのであれば、それは、ピエロとしての使命を果たしていることになります。
でも、そのピエロの使命を果たすために人々からバカにされながら笑われ続けることは、どういうことなのでしょうか。
容姿も醜く、奴隷の身分であり、ピエロとしてしか生きていけない人たち。
そんな、ピエロの感情を隠すために真っ白な肌の色と作った笑いの中に涙が光るのではないでしょうか。
ピエロの目に涙を描くようになったのはフランス映画「天井桟敷の人々」という映画からですが、もっと古くからピエロたちは涙を流していたのかもしれません。
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ピエロにひそむ極端な感情
ピエロは、笑われることが自分の存在意義。
周囲の人々から笑われるクラウンからすらも、バカにされるのがピエロです。
もし、ピエロが笑われなくなったなら、その存在すら認めてもらえない。
自分の存在価値は、自分の身体的な醜さ、行動の滑稽さ、言動の愚かさを自ら表現すること。
身体的にも欠陥があり、身分も奴隷であるピエロ。
とても今の環境から逃げ出すことはできなかったでしょう。
このように、人々からバカにされつづけ、逃げ場もなかったピエロは、いったいどんな気持ちで日々を過ごしていたのでしょうか。
泣きたくなるほど辛いのに、笑いながら自分の醜さ、愚かしさを自分が生きるために表現しつづけなければいけない。
自分の気持ちを隠すために顔を白く塗り、自分の顔に笑っている表情を書いて感情を塗り替えるピエロ。
大粒の涙もこぼれて不思議はないでしょう。
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ジョーカーとしての道化師
このように、不幸に落ち込んでいるばかりがピエロではありません。
ピエロと同じ道化師でも、ジョーカーという存在にもなれるのです。
宮廷道化師としてのジョーカーは、キングやクイーンといった王族に対しても、軽口を言える存在。
つまり、いつも王族の近くにおり、平気で自分の好きなことを話しかけ、ともすれば、国政にまで影響を与える発言もできる存在。
だからトランプでは、ジョーカーがキングやエースより強くなることがあるのです。
同じ道化師でも人間としての尊厳を完全に否定されたピエロと人間界での権力の頂点に存在するジョーカー。
その両極端な立ち位置が、道化師をミステリアスな存在に仕上げているといえます。
笑いながら泣くという複雑な表情は、極端な感情だけでなく、人間界における権力の頂点と最下層の極端な存在であることをも表しているのです。
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泣きながら笑うジョーカー
笑いながら泣いているピエロとは対照的に、泣きながら笑うのがジョーカー。
それもそのはず、世界が自分のもののように思えているのでしょう。
道化師の世界だけでなく、トランプの世界でもワイルドカードとして、何にでも変化するジョーカー。
本当の感情が見えず、どんな行動を取るかわからない、怖い一面を持ち合わせているのがジョーカーです。
そのため、両極端な感情を見せながら本当の気持ちを見せないピエロに恐怖を感じる道化恐怖症というものがあります。
もしかすると、あなたも、何が起きるかわからないという恐怖の感情を、ピエロのメイクを見て感じることができるかもしれません。
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ジョーカーとピエロからわかる人間の感情
このように、人はピエロにもなれるし、ジョーカーにもなれるという、柔軟なこころを持っています。
時に、人は両極端な感情を持つことがあります。
笑いながら泣くことと、泣きながら笑うこと。
マフィアのボスで有名なアル・カポネは、多くの人々を殺害しながらも自分は慈善事業を行ってきて、これまでの残虐ともいえる行動は愛するが故の結果だったといいます。
また、さっきまですごく泣いていた小さな子どもが今はもう笑っている、という風景をあなたは見たことはありませんか。
このように、人は全く違う感情を持ち合わせて、状況に応じて使い分けている生き物なのです。
もしかすると、24人のビリー・ミリガンという自分以外に24人の人格が一人の人間の中にいるという多重人格症のことをあなたは知っているかもしれません。
24もの人格が一人の人の中に存在するということは、驚くべき現実ではありますが、実は、他人事では済まされない事実。
アメリカのCIAやFBI、米軍で活躍するジョージ・エスタブルック博士は、権威的催眠誘導で知られる心理学者の言葉を紹介しましょう。
このジョージ・エスタブルック博士は、人間の心の中には二人以上の人格があるといいます。
この違う人格を催眠で引き出すことでいままでのその人には考えられなかった行動を取ることが可能となるというのが、ジョージ・エスタブルック博士の持論。
つまり、ピエロとして生きることも、ジョーカーとして生きることも、あなた自身で選び、つかむことができるということ。
ピエロのやりばのない悲哀と、ジョーカーのミステリアスな魅力、あなたはどちらを選びますか?
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まとめ
以上、「泣きながら笑うピエロの心理とは。極端な感情に秘められた道化師の謎」についてお伝えしました。
泣いているのか笑っているのか感情が見えないピエロですが、実は、ピエロだけではなく、人間は相反するものも含め多くの感情を持っています。
ピエロとジョーカーは、両方の感情を持ちながら、両極端な人生を送ることになります。
笑いのために悲しみが生まれる、愛するがゆえに腹が立つ、喜怒哀楽は、誰もが持っている感情なのです。
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