こんにちは。
催眠を心理学で科学する「催眠心理学」
神戸ヒプノセラピー、催眠療法ベレッツアです。
あなたは、ミルトン・エリクソンという名前を聞いたことがはありますか?
実は、このミルトン・エリクソンとは、催眠療法、心理療法、NLPの世界でとても有名な人物です。
ミルトン・エリクソンのの心理療法は無意識に語りかけるものとして、最高度に研ぎ澄まされたカウンセリング手法。
それでは、催眠療法、ヒプノセラピーの世界でも他の人がマネをすることができないくらい高度に洗練されたこのミルトン・エリクソンの催眠誘導を見ていきましょう。
ミルトン・エリクソンとは
精神科医でもあり、心理学者でもあるミルトン・エリクソンは、催眠療法のエキスパート。
ミルトン・エリクソンが心理カウンセリングを行う時、催眠誘導に失敗することがなかったというほど、人間の心理についてよく知っている人でした。
- アメリカの臨床催眠学会を創始者で、初代会長
- アメリカ心理学会
- アメリカ精神医学会
- アメリカ精神病理学会
精神病にも精通しており、催眠療法を広めるため、実践的で、実際に現場で活用することができるヒプノセラピーのワークショップを世界各地で行いました。
そんなミルトン・エリクソンの幼少期は、小児ポリオや色覚異常、に悩まされていたのです。
特にポリオで前進がマヒして動かなくなった時の経験は、ミルトン・エリクソンの相手を「観察」するという技法の確立に大きく役立っています。
ポリオによる全身マヒで目しか動かなかったミルトン・エリクソンにとって、観察することしかできなかったため、その観察眼が極度に発達したのです。
ミルトン・エリクソンの催眠療法は、カウンセリングに心理療法を使う時、「観察」によって得られるその場にある全ての状況、すべてのものを利用して行われました。
アメリカでは、拘置所にいる抑留された人に対し、心理的なカウンセリングでその心理状態や状況をプロファイリングしますが、ミルトン・エリクソンもそのような立場に立つことがあります。
ある時、椅子にも座らない抑留人に対し、椅子に座らせようとした時のこと。
その部屋は食堂のように広い部屋で椅子がたくさんある部屋でした。
その中の一つの椅子に座らせてカウンセリングしようとしたのです。
ですが、いくら座るように促してもその相手は全く椅子に座ろうとしません。
なのでそれまでの精神科医は、「椅子にも座らないような相手と、まともなカウンセリングはできない」、とあきらめて帰るほどの手ごわい相手。
ですが、ミルトン・エリクソンは、「この中で一番座りたくない椅子はどれか」といって次々に椅子を遠ざけ、見事、「座りたい椅子」を見つけその椅子に座らせてカウンセリングを成功させたという逸話も残っています。
(関連記事:ヒプノセラピー(催眠療法)とは)
ミルトン・エリクソンの心理療法
ミルトン・エリクソンの心理療法は、それまでの古典的な催眠療法に新しい風を吹き込んでいます。
「治療に抵抗するクライアントはいない。柔軟性に欠けるセラピストがいるだけだ」という信念のもと、催眠に興味がない人にも催眠をかけることができる催眠療法のエキスパート。
心理カウンセリングをする相手に合わせてコミュニケーションをとるべきとして、ミルトン・エリクソンの催眠療法としては確立させませんでした。
ですが、ミルトン・エリクソンの弟子たちはそれぞれ彼の影響を引き継ぎながら短期療法と呼ばれる催眠療法を作り上げていきます。
この考えの一部は現在のNLP(精神言語プログラミング)という催眠誘導を行わずに相手の気持ちを動かすテクニックにも受け継がれています。
ポリオでマヒした時のミルトン・エリクソンの楽しみは家族を観察することしかなかったのですが、その観察により、人が話すことばの中には、二重の意味を持つものや三重の意味を持つものを見つけ出しています。
ほかにも、ミルトン・エリクソンは、命令ではなくても、実は命令的な内容であることばがあることを見つけています。
この命令的な内容の言葉とは、たとえば、だらしない人に「服のボタンが外れているよ」とのことばにボタンを締めなさい。という命令の意味が含まれているようなことばのこと。
このように、言葉を自由自在に操って催眠状態に導くのがミルトン・エリクソンの催眠誘導。
ミルトン・エリクソンにとっては、この世のすべてのもの、出来事が催眠誘導へのリソースなのです。
だから、ミルトン・エリクソンの手にかかると、催眠術をかけられていると思わないまま、いつの間にか、催眠術にかかっている。
そんな、自然で流暢で催眠は、今の心理療法、特に、ヒプノセラピー、催眠療法に使われることが多い催眠。
多くの人は、催眠というと五円玉をぶら下げ、「眠れ、眠れ」といって催眠をかける催眠術を想像しがちですが、実は、言葉を利用して催眠状態に誘導することがほとんど。
現代のヒプノセラピーはミルトン・エリクソンの催眠の流れを受け継いでいます。
(関連記事:あなたの脳と心に働きかける最強の心理カウンセリング ~ヒプノセラピー~ 催眠療法のススメ。)
ミルトン・エリクソンの無意識に語りかける催眠療法
エリクソン催眠といわれるミルトン・エリクソンの催眠療法は、実は独学で手に入れたものです。
大学の時に医学を勉強しているのですが、20世紀の前半においては、心理学もまともな体系が出来上がっていない時代。
だから、精神医学もほとんど独学でした。
催眠についてもまともに教えてもらうことをしていないため、ミルトン・エリクソンは独自の催眠療法を作り上げていったのです。
ミルトン・エリクソンの催眠誘導は、そのクライアントと現場の状況に合わせて行いますので、とても複雑多岐にわたるので、その催眠療法を学ぶのはとても広範囲に広がります。
1つの言葉に表面的な意味とその裏に隠された意味があるというダブルテイクを利用して催眠誘導を行ったり、相手の呼吸や言葉の抑揚に合わせて催眠術をかけたりすることができたと言います。
例えば、ミルトン・エリクソンが催眠療法を受けに来た患者に催眠をかけた時のことをお話ししましょう。
催眠療法を行う時には、普通は静かで落ち着いた部屋で実施します。
ミルトン・エリクソンが催眠術で催眠誘導を行い、患者に催眠をかけて催眠療法をかけたところまではいつも通りでした。
ですが、部屋に置いていた時計(大きな時計で、時間になると、ボーン、ボーンとなる時計です。)が鳴りだしたのです。
催眠療法中にボーン、ボーンとなってしまうと催眠状態が解けてしまうのが普通なので、催眠療法自体が途中で失敗に終わることが予想されるのですが、ミルトン・エリクソンの催眠療法は違いました。
さらに催眠を深くすることにその「ボーン、ボーン」という音を使ったのです。
どうしたのかというと、
「ボーン」深く、
「ボーン」もっと深く、
「ボーン」さらに深い催眠へ、
・・・
という風に時計の音を利用したのです。
こんなにも状況に即応でき、さらに催眠に利用してしまうのがエリクソン催眠。
エリクソンが現れるまでの催眠術、催眠誘導との違いが大きく、それまでの催眠術を古典催眠といい、ミルトン・エリクソンの催眠をエリクソン催眠と呼び、区別されています。
(関連記事:なぜ、今、ヒプノセラピー(催眠療法)なのか。)
まとめ
以上、「ミルトン・エリクソンの心理療法は無意識に語りかける催眠療法」をお伝えしました。
ミルトン・エリクソンは催眠療法という心理療法の達人。
そして、ミルトン・エリクソンの催眠は、普通の会話を通して催眠状態へ導く、という催眠への境界を無くすこと。
そのミルトン・エリクソンの催眠誘導はNLPに受け継がれていることから明らかであるように、人間関係が複雑になっている現代におけるコミュニケーションにも役立つものなのです。
(関連記事:ヒプノセラピーの効果とは!催眠術を使った心理カウンセリングの方法)
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