こんにちは。
神戸ヒプノセラピー、催眠療法のベレッツアです。
記憶の忘却に関することを調べていて、エビングハウスの忘却曲線というものに出会ったことはありませんか?
このエビングハウスの忘却曲線なのですが、式で表せるとかいう記述も見られますが、物覚えのいい人や悪い人がいるのに、本当に式で表せるのでしょうか。
もし、記憶を忘却することについて式で表し、一般化することができるなら、覚えて記憶するのに効果的な方法がわかります。
それならば、覚えることとは反対に、人為的にイヤな記憶を消すこともできるはずですよね。
それでは、エビングハウスの忘却曲線について覚えることから忘れることまで見ていくことにしましょう。
(関連記事:人為的に嫌な全ての記憶を消す方法!トラウマ克服方法ヒプノセラピー)
エビングハウスの忘却曲線は式で表せるの?
エビングハウスの忘却曲線というものを知っているという人はいますか?
この忘却曲線は決して、記憶したものの忘れやすさを表したものではありません。
たとえば、エビングハウスの忘却曲線上で、1時間たつと20%程度になるという答えが返ってきます。
もし、1時間たって44%の物事を忘れているとするなら、買い物をするために家を出て店につく頃には、買い物リストの半分以上のものを忘れてしまっているということ。
こんな事って、日常生活から考えてみてもあり得ないですよね。
このような誤解の多いエビングハウスの忘却曲線もしっかり学ぶと記憶と忘却の関係がよく分かるようになります。
それでは、エビングハウスの忘却曲線を詳しく見ていくことにしましょう。
(関連記事:記憶のメカニズムを心理学で解明する。~記憶の種類とは~)
エビングハウスの忘却曲線とは
エビングハウスの忘却曲線とは、記憶の節約量と記憶してからの時間の関係を表したもの。
だから、多くの人に認識されているような記憶の忘れやすさ、つまり、時間がたてばたつほどこれくらい忘れているよという図ではありません。
エビングハウスの忘却曲線ででてくる節約率とは、節約量を経過時間で割ったもの。
節約量とは、一度記憶したものをもう一度記憶するまでの時間のこと。
これを式で表すと、エビングハウスの忘却曲線の式になるのです。
エビングハウスの忘却曲線の式
エビングハウスの忘却曲線の式は、エビングハウスはその著書「記憶 実験心理学への貢献」ですでに、エビングハウスのモデル関数が上の式の通りかかれています。
また、記憶量を表す式としてb=100k/[(Logt)C+k]との表現も可能。
ここで注意しておきたいのは、この式はあくまでも近似式であって、エビングハウスの忘却曲線で使われる節約量は実験的に求められたものだということ。
その節約量とは、rit,pek,tas・・・のような無意味な3語で作られたつづりである無意味つづりを記憶して、少し時間がたってから、もう一度完全に覚えられるまでの時間。
節約量=(最初に記憶するまでにかかった時間 ー もう一度記憶しなおすのに使った時間)です。つまり、個人差の大きい節約量について全く意味のない無意味つづりを使って多くのデータを取ることで一般化したというわけ。
なお、無意味つづりは日本語で行う場合2語で行われることが多く「ホセ、メニ、・・・」などが使われることが多いようです。
つまり、最初に覚えるまで10分かかったとして、次に記憶しなおすのに使う時間が6分だったとします。
すると、節約量は10分 ― 6分 = 4分となるのです。
ここでエビングハウスの忘却曲線の縦軸、節約率に置き換えると節約率 = 節約量 ÷ 最初に記憶するのにかかった時間。
だから、節約率 = 4分 ÷ 10分 =40%となります。
この節約率を縦軸、節約率を出すタイミングを表した最初に覚えてからどれくらい経過したかを横軸に書いたグラフがエビングハウスの忘却曲線。
だから、エビングハウスの忘却曲線は、忘れる量や覚えていられる時間を書いたものではないということなのです。
この節約率と経過時間をエビングハウスが実験した結果、次のようになりました。
時間 | 節約率 |
20分後 | 58% |
1時間後 | 44% |
9時間後 | 35% |
1日後 | 34% |
2日後 | 27% |
1週間後 | 25% |
1か月後 | 21% |
この数字をグラフにプロットしたものがエビングハウスの忘却曲線です。
(関連記事:嫌な記憶を消す技術。催眠状態を使って人為的に記憶を消す方法とは)
記憶するのに効果的な方法
それでは、このエビングハウスの忘却曲線を使って記憶するのに効果的な方法を考えてみると、あまり時間を置かずに繰り返し、思い出すことが効果的な方法。
そもそも、1時間たつと記憶しなおすのに最初にかかった時間の44%の時間がもう一度必要になります。
それよりも多く時間が経過するとダラダラと下がっていることがわかるのではないでしょうか。
ここから考えてみると、一度覚えたものは、時間があるならもう一度記憶に焼き付けておくことが望ましいということ。
覚えたと思っても1時間後に見直すと、簡単に記憶しなおすことができる。
この方式を使い、記憶するときにはリハーサルという何度も思い出す方法を取ることができるのです。
この短期間でリハーサルをして記憶に焼き付けるという方法が、英単語や歴史で出てくる年号、地理で地方の特産物を覚える時のような無意味なつづりを覚える時に役に立つのです。
(関連記事:最古参「ヒプノセラピー(催眠療法)」と最先端「認知行動療法」の共通点とは)
人為的に記憶を消すためにエビングハウスの忘却曲線を利用する方法
記憶とは反対に、別れた恋人との思い出など、忘却してしまいたいこともあるでしょう。
このエビングハウスの忘却曲線から忘却するために効果的な方法も見つけ出すことができます。
それでは、エビングハウスの忘却曲線を利用した、人為的に記憶を消す方法を見ていきましょう。
(関連記事:記憶を忘れることって人間の素晴らしい機能!嫌な記憶を忘れる方法)
エビングハウスの忘却曲線は、無意味つづりに対する実験結果
このように忘却したい場合、それを無意味つづりとしてみなすこと、つまり意味を持たせないことで、エビングハウスの忘却曲線があてはまります。
つまり、多くの恋愛を経験しておけば、一度くらいの別れを経験してもその重みは軽くなり、意味のある現象ではなく、無意味な現象の一つとしてとらえられるということ。
一度くらい恋愛や仕事に失敗したところで命までなくなることはありません。
何度も何度も思い出して、心が病んでしまう方がよっぼど精神衛生上よくなく、あなたの健康にも影響が出てきます。
このように、あなたが手に入れた知識、学習した内容を互いに干渉しあわせて再生を妨げることがあるのも忘れるための一つの手段。
意味のある思いでも、無意味つづりに変えてしまえば、人士的に記憶を消すことができるのです。
時間がたてば、節約率を下げる効果が表れる
「どんな辛いことでも、時間がたてば、忘れられるよ。」
そんな言葉を聞いたこともあるかもしれません。
実は、この説はエビングハウスの忘却曲線上を取ってみてもよくわかること。
記憶は時間がたつと、再び記憶しなおすまでに時間がかかるようになります。
1時間後には、44%、1週間後には、25%の節約率になってしまうのです。
だから、記憶を消したいと思うなら、いつまでも繰り返し、思い出さないこと。
消したい記憶があるのなら、リハーサル効果で、記憶を強化することは絶対に避けるべき。
いつまでもウジウジ悩んで思い出していると、その想いから抜け出せなくなるのはココに理由があるのです。
人為的に記憶を消す方法は、思い出さないこと。
これが、忘れるために、必要になることはエビングハウスの忘却曲線でもわかることなのです。
系列位置効果を排除する
系列位置効果とは順番に見ていくときに、最初に見たものと最後に見たものをよく記憶に残るという効果。
美術館に行った時に、最初に見た絵や美術品はいつまでも覚えているし、最後に見た絵画などもいつまでも覚えているでしょう。
その美術館の話題が出た時に最初と最後に見た美術品のイメージが強く残るのはそのためです。
飲食店のチラシを始めてみるなら、そのイメージがそのままその店のイメージになってしまうのもこの系列位置効果が原因。
この、系列位置効果で、最初に見たものをよく覚えていることを初頭効果、最後に見たものをよく覚えていることを親近効果と言います。
無意味つづりを覚えるエビングハウスの忘却曲線の実験にしても、この初頭効果と親近効果は強く現れます。
消してしまいたいと思うようなあなたの記憶も、出会った瞬間という初頭効果の強い記憶と、別れる時という親近効果の強い瞬間が極めて印象的に記憶として刻まれています。
この最初の記憶と最後の記憶の二つを思い出さなければ、真ん中の二人で過ごした時間などオセロのように簡単に新しい記憶に塗り替えられてしまうでしょう。
(関連記事:嫌なことを忘れる方法!恋愛で好きな人を忘れられない人の解決方法)
記憶から消したいなら意味ネットワークにつなげない
もしあなたが、記憶を消す方法を手に入れたいと思っているなら、ここでもう一つ、大切なことがあります。
それは、消したい記憶をあなたの意味ネットワークにつながないということ。
ここでいう意味ネットワークとは、認知心理学で使われる記憶のシステム。
1つの物事を思い出す時には、関連性のあることも同時に思い出されるという記憶の仕組みです。
これはどういうことかというと、あなたが消したいと思っている記憶、つまり、消そうと思っている記憶から近い意味を持つ思い出のものをいつまでも持っていると、記憶を呼び起こすリハーサルになるということ。
例えば、形態の待ち受け画面に別れた恋人の写真を残したままにすると、節約率が高いうちに何回も見てしまうことになります。
すると、いつまでも忘れられない思い出になってしまう。
エビングハウスの忘却曲線からわかることは、そんな親近効果が現れるものは、身近なところに置かず、排除しなさいということ。
それが、人為的に記憶を消す方法になるのです。
(関連記事:意味ネットワークとは。活性化拡散モデルと階層的ネットワークモデルの違い)
まとめ
以上、「エビングハウスの忘却曲線は式で表せるの?忘却曲線で記憶を消す方法」をお伝えしました。
記憶するために使われるエビングハウスの忘却曲線ですが、人間、そんなに計画的に繰り返して記憶する機会を作ることは非常に難しいでしょう。
反対に、恋愛の楽しい思い出や仕事の苦しい記憶なども消してしまうのも簡単なのです。
人為的に記憶を消す方法は、思い出さないこと、上書きすること、そして、最初と最後を良い思い出に変えてしまうこと。これが、エビングハウスの忘却曲線からわかる人為的に記憶を消す方法です。
(関連記事:嫌な思い出を忘れたい人へ。催眠術であなたの忘れたい記憶を消す方法)
コメントを残す