こんにちは。
神戸ヒプノセラピー、催眠療法のベレッツアです。
上手に年を取り、幸福な老後を送ることで、健康で幸せな人生で締めくくりたい。
多くの人が、そう望んでいるのではないでしょうか。
現在の日本では、高齢化も進み、仕事から離れて過ごす定年後も10年以上の長い年月を暮らすことになります。
サクセスフル・エイジング、上手に年を取ることは、これからの人生において、とても大切なことではないでしょうか。
このサクセスフル・エイジングとはいったいどのようなものなのでしょうか。
サクセスフル・エイジングについて、とくに心理学での定義とその意味を見ていきましょう。
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サクセスフル・エイジングとは何か。
高齢者が幸せな老後を送るためのキーワード、サクセスフル・エイジング。
言葉自体は知られていても、サクセスフル・エイジングを和訳すると、成功した年齢の重ね方とでもいうべきでしょうか、適切な日本語が見つかりません。
さて、このような、サクセスフル・エイジングという言葉ですが、実は、適切な日本語がない上に、各学問においても違う見解がなされています。
社会学の観点、医学からの観点、そして、心理学からの観点がありそれぞれ少し違った角度からサクセスフル・エイジングとは、と、定義しているのです。
例えば、社会学的には、高齢者も働き盛りの人と同様に働き続けるという活動理論と世代交代という離脱理論でサクセスフル・エイジングとしています。
医学においては、病気がなく、また、病気のリスクもなく、機能障害も無くて、社会参加をしている場合をサクセスフル・エイジングとしています。
このようにバラバラでしかも、日本では、いままであまり老後について関心がなかったせいか、サクセスフル・エイジングに関する研究があまりなされていないのが現状。
残念ながら、数少ない日本語のサクセスフル・エイジングとは何かという定義についてみてみると、次のようになっています。
- 身も心もつつがなく年を取っていくこと(小田)
- 幸福な老い(古谷野)
- 良い人生を送り天寿を全うすること(柴田)
諸外国では、ポール・バルテスの生涯発達理論やロバート・J・ハヴィガーストの老年期における発達課題、エリクソンの老齢期の統合対絶望による智慧、その他にも、ユング、レヴィンソン、スーパーなど、多くの心理学者も研究を重ねてきました。
これらの研究を取り入れて心理学的なサクセスフル・エイジングは、次のように定義され意味付けをしています。
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サクセスフル・エイジングの心理学上の定義と意味の説明
心理学上でのサクセスフル・エイジングとは、人間の成長における最終段階で良い精神状態にいること。
このサクセスフル・エイジングの概念にもあたる、良い精神状態とは、「長寿」、「健康」、「生活満足・幸福」の3つの要素で構成されます。
そして、この3つをあわせ持った複合的でかつ多元的な概念がサクセスフル・エイジング。
ハヴィガーストなどの心理学者は、サクセスフル・エイジングと社会的な活動との関係を心理的幸福を測定する人生満足度尺度を用いて分析しました。
生活満足などの心理的な幸福は、QOLと呼ばれれる生活の質というものが大きく影響を与えます。
生活の質とはクオリティ・オブ・ライフと呼ばれ、どれだけ自分の生活や人生に幸せを感じているかということ。
肉体的なもの、精神的なもの、社会的なもの、経済的なものなど、生きていく上で関係するすべてのもの含めた生活の質です。
この生活の質を上げることで、自身が望む幸せな老後を過ごして人生の幕を閉じていくことが老齢期。
引きこもって世間から離脱し非活動的な人よりも、外に出て積極的に世間に関わっていく活動的な人の方が人生の満足度、生活の満足度が高い、とハヴィガーストが調査報告しています。
これを反映してか、1970年以降、サクセスフル・エイジングの指標として、主観的幸福感という言葉が使われるようになりました。
この主観的幸福感とは、自分がどれだけ幸福感を感じているかという指標。
貧しくても、不自由でも自分自身が幸福であると感じることができれば、主観的幸福感は高くなります。
反対に、どれだけ裕福でも、五体満足で健康であっても、自分自身が不幸だと思うと、主観的幸福感は下がっていきます。
サクセスフル・エイジングは、この主観的幸福感と生活満足感・人生満足感がどれくらいなのかということに大きく関係があるということ。
つまり、今がとても幸福で満ち足りていて、色々あったけれど自分の人生は幸せだったと感じられたら、それは、サクセスフル・エイジング。
今では、この主観的幸福感という言葉のかわりに、心理的適応とか、精神的健康とかといった言葉も使われるようになりました。
近年発表された主観的幸福感の面白い報告に、ジョージア大学調査研究センターの報告があります。
その報告とは、世間とかかわりを持ちたいと考える性格や、緊張しにくい性格の人は、100歳になった時に内向性で緊張しやすい人よりも高い主観的幸福感を持つようになるということ。
ポジティブな思考を持てば、ネガティブな考え方の人より幸せになれる。
そして、ネガティブな考え方や性格をポジティブな思考に変えていくためには、心理療法が効果的な方法です。
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高齢者への心理臨床、心理療法でサクセスフル・エイジング
高齢者への心理臨床についてですが、精神分析家のフロイトが高齢者に精神分析は不適と断言しました。
また、高齢者自身がこころの問題を持つ人に対する偏見や差別が満ちあふれた時代を生きてきた人々です。
だから、高齢者自身に、精神病院や精神科に通うことに非常に強い抵抗があります。
その上、さまざまな心理療法があるにもかかわらず、それを受ける高齢者が少なかったのは、専門家の間でもその効果を信じられなかった人が多かったということもあります。
ですが、近年に「高齢者に対する心理療法は、若年者とほぼ同じ程度に効果がある」ということが、ピンカートとソレンセンの報告などでわかりました。
いまでは、アメリカ、カリフォルニア州での臨床心理士の資格要件として高齢者の心理臨床の知識技術があることとされています。
高齢者に対する心理療法は老齢期特有の心理的課題に配慮する必要はありますが、基本的に他の年齢層に対する心理療法と変わりません。
だから、高齢者への心理療法を使えば、失うことが多くなった老齢期でも、幸福で豊かな肯定的な人生としてとらえることができる。
だからこそ、サクセスフル・エイジングが必要な老齢期においても心理臨床が必要。
高齢者への心理臨床の必要性は、うつや引きこもりなど、心の問題が多くなったと言われる若年層と同じなのです。
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まとめ
以上、「サクセスフル・エイジングとは何か。心理学での定義と意味の説明」についてお伝えしました。
体力的にも、認知的にも、下降していく時期である老齢期であるからこそ、サクセスフル・エイジングが必要になるのではないでしょうか。
老いることは決して失うばかりのネガティブな時期ではなく、今までの人生の集大成の時期。
サクセスフル・エイジングで、老齢期を豊かな実りを感じられる幸福な時期にしてみませんか?
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