こんにちは。
神戸ヒプノセラピー、催眠療法のベレッツアです。
さて、なんとなくそのように見えてしまうという、パレイドリア現象とシミュラクラ現象。
この二つ現象の違いって、分かりづらいですよね。
例えば、車が人の顔に見えるのはどちらの現象なのでしょうか?
それでは、パレイドリア現象とシミュラクラ現象の違いとはどう違うのか見てみましょう。
パレイドリア現象とは
パレイドリア現象とは、精神医学の言葉で、あなたが見たものがその実際とは違うものに見えること。
いわゆる、目の錯覚です。
例えば、空の雲が飛行機に見えたり、天井の染みが人の姿に見えたりすることがパレイドリア現象。
実際には、そうではないというのがわかっていながら、そのものとは違うものと認識してしまう。
感情や思い付きとはまた違ったもので、無関係に見えてしまうのです。
それも一度見えると、あなたの意志はどうあれ、そのように見え続ける。
それがパレイドリア現象なのです。
精神的に健康な人でも見ることは普通にありますが、ひどくなると精神医学上、疾患とみなされることも。
認知症の一つである、レビー小体型認知症にかかると、パレイドリア現象が現れやすくなります。
このパレイドリア現象が起きやすいかどうかでアルツハイマーと区別するテストも作られました。
パレイドリアとは、ギリシャ語のパラ(パラレルやパラメータなど、何かズレて存在していること)と形の複数形を意味するエイド―ロンとが由来。
右から左に点滅する光が流れるように見えるのも、このパレイドリアといえます。
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シミュラクラ現象とは
シミュラクラ現象等は3つの点が存在すると人の顔に見えるというもの。
例えば、上の写真のように、気の父子が多い壁を見てください。
上の壁の3つの節(黒くなっているところ)を選んでみてください。
その3つの黒い点をじっと見つめてみてくださいね。
すると、その三つの点が人の顔に見えてきませんか?
実はこのように、三つの点を逆三角形に配置した様子を見ると、人の顔に見えるという錯覚がシミュラクラ現象。
このシミュラクラ現象は赤ちゃんの頃から備わっていて、顔を判断する機能を発達させることがとても重要なことであることをしめしています。
赤ちゃんはしっかりと言葉を話せないので、自分の意志を伝えることができません。
だから、このように、人の顔を見て、その人の感情を読み取る訓練を生まれた時からしているのです。
人を観察することでその人の感情を理解することができるのは、ミルトン・エリクソンという催眠療法のエキスパートが実証済み。
ミルトン・エリクソンは小さい時に小児ポリオという病気のために目だけしか動かすことができない時期がありました。
そのため、観察することで、相手の気持ちを完全に読み取ることができるようになって、どんな状況であっても催眠をかけることができるようになったのです。
(関連記事:ミルトン・エリクソンの心理療法は無意識に語りかける催眠療法)
車が人の顔に見える現象とはパレイドリア現象とシミュラクラ現象、どっちなのか?
さて、話しをパレイドリア現象とシミュラクラ現象に戻しましょう。
今まで見てきたように、パレイドリア現象は、目の錯覚全てを包括するもので、シミュラクラ現象は、3つのものを逆三角形に並べると人の顔に見えるという錯覚。
だから、パレイドリア現象はシミュラクラ現象をも含んだ表現であるということ。
人は、他人や動物に出会った場合、敵かどうかを正確に判断しないと殺されてしまうかもしれません。
相手の顔をいち早く察知し、その感情を読み取って、判断することが、生物として生き残るための大切な手段。
だから、本能的に相手の目と口の関係を見るのであり、これがシミュラクラ現象を作り出すもとになります。
このように考えたら、自動車を正面から見た時に人の顔に見えるのは、パレイドリア現象でしょうか、それともシミュラクラ現象なのでしょうか。
その答えは、あなたの注意の焦点がどこにあるのかという点が重要になります。
車を正面から見て、ライトやミラー、ワイパーなど、ふたつのものと、中央に位置するグリルやエアインテークラジエーターなどを見つけると、自然と目と口のように見えてきます。
全体をぼんやり眺めてから、人の顔のように見えると思うなら、パレイドリア現象。
それとは違って、ライト二つと正面のグリルが目につき、人の顔に見えるようなら、シミュラクラ現象であると言えるでしょう。
つまり、パレイドリア現象とシミュラクラ現象の境目は、人の顔に見えるかどうかではなく、3つの点に注目するか、全体に注目するかの違いです。
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心霊写真がトリックを使わなくても本物に見える理由
このように、人間には、ほぼ、何を見ても人の顔に見えるようにその精神構造がつくられています。
だから、心霊写真は、トリックを使わなくも本物に見えてしまうのです。
逆に、トリックを使おうとすると心霊写真が普通の写真になってしまうので、迫力に欠けるかもしれません。
想像力をかきたてるような写真の方が、心霊写真に適していると言えるでしょう。
実は、心霊写真の9割が、このパレイドリア現象かシミュラクラ現象。
見る人が自分から身を乗り出して、何でもない風景を心霊写真だと言っているのです。
一度見たらずっとその顔が見え続けるのがパレイドリア現象やシミュラクラ現象による錯視という錯覚。
心霊写真は、あなた自身が心霊写真として見ようとしているから心霊写真に見える、といえるでしょう。
ただし、残りの1割くらいは、本物の心霊写真が混ざっているかもしれませんね。
(関連記事:死生観とは何なのか。日本人の死生観の歴史とその真実の意味とは)
イメージを使う催眠療法はパレイドリア現象なのか
イメージを使う催眠療法とは、ヒプノセラピストが語りかける言葉であなたが自由にイメージしていく心理療法。
このイメージは、あなたが注目したい部分において潜在意識、無意識の中に眠る記憶を頼りに造り出すものなので、あなたの記憶の一部です。
ですが、その記憶にしても、間違って覚えることもあるだけでなく、そのことが起こったという事実は全ての人にとって同じ出来事でも、その事件のとらえ方はあなたの自由でもあります。
良いようにとらえることもできるし、悪くとらえることもできる。
この辺りがパレイドリア現象と似ているところで、良いイメージで明るく、ポジティブで肯定的なイメージとらえると、そのイメージはどんどんと良いイメージになっていきます。
反対に悪いイメージでとらえてしまうと、暗く、ネガティブで否定的なイメージの側面が強くなっていくでしょう。
この記憶についてのあなたのイメージ、信念はあくまでもあなたが作り出したもの。
その意味において、催眠療法のイメージとは、パレイドリア現象ということができるのではないでしょうか。
(関連記事:ヒプノセラピー ~催眠療法のススメ~ あなたの脳と心に働きかける最強の心理カウンセリングとは)
まとめ
以上、「パレイドリアはシミュラクラと違う現象?車が人の顔に見える現象とは」をお伝えしました。
パレイドリア現象も、シミュラクラ現象もどちらも、錯覚という点においては同じ。
ですが、全体を見て起こる視覚的な錯覚なら、パレイドリア現象であり、3点に注目して人の顔に見えてくるならシミュラクラ現象。
この二つの現象に共通することは、あなたのこころが作り出すイメージであり、そのものをどうあなたがとらえるかにより、一度見えたり感じたりすると、ずっとそのままとらえつづけてしまい、固定化した信念になるところなのです。
(関連記事:記憶のメカニズムを心理学で解明する。~記憶の種類とは~)
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